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2010年6月28日

「ここで負けているようじゃ話にならないんです」
菊野克紀インタビュー

7・10『DREAM.15』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMライト級ワンマッチ、J.Z.カルバン戦に臨む菊野克紀にインタビュー。カルバン戦への意気込みを語ってもらった。【取材日:2010年6月24日】

■「今回カルバン選手に勝つことは“必要最低限”なことなんです」

──『DREAM.15』J.Z.カルバン戦まで3週間を切ったわけですが、現在の心境、お気持ちから聞かせてください。
菊野 本当になにがなんでも勝たなければいけない試合だと思っていますので、集中していい練習ができている状態です。気持ち、すごい入っています。
──今月17日のDREAMオフィシャルサイトでのネット中継に出演された際に「アルバレス選手に負けたとき超えられなかった壁をもう一回超えるチャンス」ということをおっしゃっていましたが、あのとき壁を越えられなかった要因というのはどこにあると分析されているのですか?
菊野 一番はやっぱり気持ちの面ですよね。「強い相手と闘って自分の全力を出したい」という欲求を抱えて僕は格闘家になったのですが、それで満たされてしまっていたと。アルバレス選手という強い相手と闘って「自分の全力を出すんだ」ということで満足してしまっていた部分があったんです。要は「絶対に勝つ」というところにまで気持ちが辿り着けてなかったと。そういう状態で臨んでしまっていたんですよね。僕の一撃で倒すというスタイルというのは、精神力を研ぎ澄ませて「絶対に勝つ」という強い気持ちで臨まないと意味を成さないんです。そういう心が作れなかったのが一番の要因でした。
──菊野選手の中でいい意味ではないリラックスさがあったと。
菊野 そうです。まさにそういうことです。アルバレス戦と弘中戦のときの僕の表情を見ても、まったく違うと思います。
──その試合に臨むメンタル的な部分というのは前回の弘中邦佳戦で修正されたと。
菊野 そうですね。その2試合はほんと対照的な試合でした。アルバレス戦では作れなかった気持ちが、弘中戦ではちゃんと作れたんですよね。その感覚を掴むことができました。アルバレス選手に負けた後、周りの状況はガラッと変わって、僕の評価はガクンと落ちて、弘中選手に勝ってまたガッと上がったので、そこらへんも含めてすごく勉強になったというか、勝ちに対する欲が強まったのが大きかったと思います。だから今回、僕の中でカルバン選手に勝つという意味は、アルバレス戦のときとまったく違うんです。アルバレス選手に勝つことが“挑戦”だったとすれば、今回カルバン選手に勝つことは“必要最低限”なことなんです。これから青木選手、川尻選手と絡んで、DREAMを盛り上げる、格闘技界を盛り上げると考えたときに、ここで負けているようじゃ話にならないんですよ。勝って当然の試合として気持ちを作っています。
──でも、それは大きなプレッシャーですよね……。
菊野 アルバレス戦のときはそのプレッシャーがなかったんです。要は、相手(アルバレス)が格上ということで、周りもそういう目で見ていましたし、僕の中でもそういう気持ちがありました。勝たなければいけないという気持ちが足りなかったんです。命を懸けるくらいの覚悟でやらないと僕は力を出せないので、そのプレッシャーというのは試合をする上でとても必要なことなんだと感じています。

■「KOされたことのないカルバン選手をぶっ飛ばしたいと思います」

──前回の弘中戦は見事なKO勝利でしたが、その後から今までで強化した部分はありますか?
菊野 僕は「相手になにもさせずに最初の一撃で倒す」ということを理想としてずっと練習しているのですが、そこに向かって一歩二歩進んでいる自信はありますし、プラス、単純に試合として勝つためにどうすればいいかという部分も強化されています。理想の追求と試合に勝つための方法、その両方とも間違いなく進化しています。
──J.Z.カルバン選手の印象を聞かせてください。
菊野 穴がない選手だと思います。打撃も寝技もレスリングも強くて、フィジカル、メンタルも強い。ほんとに強い選手だと思います。
──最近の試合で言えば、昨年5月『DREAM.9』で川尻達也選手と対戦していますが、あの試合の感想を教えてください。
菊野 ヒザの調子が悪かったみたいで、いつものカルバン選手の強さは感じられない試合だったと思います。川尻選手も調子が悪かったように感じたので、今回カルバン選手と対戦する上であの試合は参考にはならないかな、と思っています。
──では、参考になりそうな試合というのは?
菊野 HERO'Sの頃の、要は勝っている頃の試合ですよね。あの頃の試合を見て、あの頃の強さ以上のものをイメージしています。
──カルバン選手と対戦する上でもっとも警戒すべき点を挙げるとすると?
菊野 打撃も怖いんですけど、僕が得意としているのが打撃なので、向こうの立場としてはテイクダウンして寝技に行ったほうが勝率を上げる方法になるんじゃないかなと思うので、向こうのテイクダウン、そこからのグラウンドが僕が勝つためのキーになるんじゃないかなと思います。
──そのテイクダウン、グラウンドの対策というのは?
菊野 相手がカルバン選手だからというわけじゃないんですけど、タックルを切る練習だったり、タックルに合わせてカウンターを取る練習だったり、寝技もそうですけどずっと磨いてきています。ですので、これといって恐怖を感じることはないです。寝技でそんなに負けるとも思っていないですし、テイクダウンに来たら来たでこっちも仕掛ける技がいくらでもありますからね。確かにテイクダウン取られてガッチリ押さえ込まれたらやっかいですけど、だからといってそれに対して対処できないわけではないので、はい。それも想定しています。でも、理想はそんなことはさせないこと。そんなことはさせずに一発で倒すのを目標に練習しています。
──師匠の高阪剛さんからはどんなアドバイスを?
菊野 カルバン選手の構えであったりスタイルというものに対して、やってはいけないことであったりやったほうがいいことを話し合って、そこを今練習していることです。相手の弱点を探して、こっちの弱点を潰しているところですね。
──この試合に勝てば青木選手、川尻選手の背中というのが見えてくると思います。そのへんは意識されますか?
菊野 そうですね。カルバン選手に勝てば、100年早くはないと思うんですよ。勝てば横に並べると思っていますし、僕が勝たないと格闘技界、面白くないと思うので、はい。青木選手も川尻選手も偉大な選手だと思うので、その選手たちに並んで、そして追い抜くと。それをちゃんと僕の仕事としてやりたいですね。
──今回、ファンにはどんな試合を見せたいと思っていますか?
菊野 一撃で倒したいですね。武の技で、カルバン選手の強さを感じないくらい、圧倒的に倒したいです。僕はKOしか求めていません。KOされたことのないカルバン選手をぶっ飛ばしたいと思います。
──最後にファンへメッセージをお願いします。
菊野 もう一度、日本人が夢を見られる、そんな試合をします!

【『DREAM.15』既報対戦カード】
■DREAMライト級タイトルマッチ
青木真也(王者/日本/パラエストラ東京)vs川尻達也(挑戦者/日本/T-BLOOD)
■ライト級ワンマッチ
J.Z.カルバン(ブラジル/アメリカン・トップチーム)vs菊野克紀(日本/ALLIANCE)
■ライトヘビー級ワンマッチ
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショー・タイム)vs水野竜也(日本/U-FILE CAMP.com)