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2009年10月21日

「自分とチェイスのどっちがDREAMで生き残るかという試合や」
前田吉朗インタビュー

10・25『OLYMPIA DREAM.12』(大阪城ホール)にて行われるDREAMフェザー級ワンマッチ、チェイス・ビービ戦に臨む前田吉朗にインタビュー。ビービ戦に向けての意気込みを語ってもらった。【取材日:2009年10月14日】

■「ビビアーノは生き物として強い感じがしました」

──『DREAM.12』まで2週間を切りましたが、現在のコンディションはどうですか?
前田 今、ちょうど追い込みの真っ最中ですので疲れ切っているところです(苦笑)。でも、今週抜けたらあとは流し気味の練習になりますし、ここまで順調に来ているので大丈夫です。
──お疲れのところ大変申し訳ございません!
前田 いやいや、今日はもう練習も終わったので全然大丈夫ですよ。インタビュー、よろしくお願いします!
──こちらこそよろしくお願いいたします! さて、先日行われた『DREAM.11』ではファンイベント(※『DREAMファイター大解剖』)に参加しましたね。
前田 楽しかったです! 選手からすると、普段、実際にどういう方が応援しているのかなかなか分からないんですけど、「あぁ、こういう方たちが応援してくれてるんやなぁ」というのを感じられて楽しかったです。
──その『DREAM.11』では、フェザー級GP決勝ラウンドを観戦されていました。
前田 いろんな感情で見ていましたね。「ほんまやったら自分がここにおったはずやのにな」とか、番長が優勝すると思って見てたんすけど優勝できなかったこともあって、いろいろ複雑な気持ちがありました。
──ビビアーノ・フェルナンデス選手が優勝したことについてはどう思いましたか?
前田 最初の時点からバリバリの優勝候補の一角ではあったじゃないですか? ……まあ、自分が「優勝候補」と言ってしもたらあれなんですけど。だから、あの結果に対しては、不思議とかそういう気持ちはなかったです。あとは、「自分が闘うんやったらこうするな」というのを考えて見てました。まあ、寝技とかそういう技術的な部分もそうなんですけど、生き物として強い感じがしましたね。


■「自分、考えが180度変わりすぎですよね」

──今回の相手がチェイス・ビービ戦に決まったときはどんなことを思いましたか?
前田 そんなに何かを思うことなく受け入れた感じですよね。「ああ、次はチェイスか。よっしゃ、チェイスを倒そう」という感じだけでした。チェイスと試合を組まれるのは全然あり得る話やし、強いし実績もある選手ですから、特に「えっ、こいつ?」という感情もなく、素直にスイッチが入りましたね。
──前田選手が昨年WECに出場されていたとき、ビービ選手の試合はご覧になっているんですよね。
前田 ええ。でも、そのときはチェイスが完封された試合だったので、チェイスの印象よりかは、そのとき「絶対王者」と言われたミゲール(・トーレス)の印象のほうが強いんですよ。
──今回、ビービ選手と試合をする上で、改めて試合映像を見直されましたか?
前田 見ました。そつがなく、すべてができるファイターですよね。そういう意味では、見てて、「自分と似たような動きをするな」ということを思いました。漠然と「同じようなタイプやなぁ」と思いながら、はい。でも、今DREAMにおる人間は、すべてできるんですけどね。できる上で何かが突出しとって、それが目立つだけで。
──ビービ選手はフェザー級GP1回戦のジョー・ウォーレン戦でまさかの敗退。あの試合についてはどう思われましたか?
前田 あの試合は参考にしてません。完全に巻き込み事故に遭った感じでしたからね。それよか、単純にウォーレンに感心しました。「あれで行けるんや!」という。
──ビービ選手と対戦する上でもっとも警戒する点はどこでしょう?
前田 すべてだと思うんですけど、特にタックルですよね。上を取ったらやっぱり巧いし、今回はケージですから上取られたら結構キツイ展開になると思うので、そこは気を付けたいですね。
──『DREAM.11』では「自分は蚊帳の外に出た人間」ということをおっしゃっていました。ここでキッチリ勝って、今後のフェザー級トップ戦線参入にアピールしていきたいという思いも強いと思うのですが?
前田 いや、今回の試合は次のステージに行くための試合じゃなくて、どっちがDREAMで生き残るかという試合やと思うんですよ。で、これをキッチリ勝って、次に勝って、そこでやっとトップ戦線に入っていけると思っているので、はい。まあ、普通に考えたら、チェイスを倒すってのは凄いことだと思うんですけど、そうは見てくれないですからね。
──今月2日に行われた記者会見では、大晦日参戦もアピールしていきたいとおっしゃっていました。
前田 やっぱり大晦日に出るというのは、自分の中で一つのステータスやと思っているんですよ。「あそこに出てやっと一流」というのがあるんですよね。多分、自分の中のどっかに劣等感というのがあって、そこからそういう思いが出てくると思うんですけど、それを払拭する意味でも出たいなと思います。
──では最後に、今度のDREAMではファンにどんな試合を見せたいですか?
前田 どういう試合……、やっぱり見せないかんのですよね?(苦笑)。
──……と言いますと?
前田 この前のDREAMとかでも挨拶とかして、「ファンのために」とかそういうつもりになっとったんすけど……、なんか今回、物凄く自分のために闘うという感じなんですよ。もちろんいつもしっかり練習しとるんすけど、今回はいつも以上な部分があって、練習しよる内に自分への自己愛というのが出てきて、まずは自分のためにしっかりやりたいというか、一回、原点に返ったようなところがあるんです。格闘技を始める前の自分に。そこに返って、そのときになりたかった自分というのは、格闘技を始める前の夢いっぱいの時期、その時期に思い描いていた自分やったなと思ったんすよ。そのときに思い描いていた自分というのは、強い選手になりたいっていう、本当に純粋な気持ちですよね。そこはまだファン目線ですから、他の人がどう思うかなんて考えていません。でも、そこで思い描いていたことと現実というのは違うもんじゃないですか?
──そうですね。これは格闘家に限らず、共感できる人は少なくないと思います。
前田 でまあ、そういうことをふと考える日があったんですよ、慢性的に考えているわけじゃなくて。久しぶりに、昔、将来の夢で溢れていたときの自分が、「今、来たか!」っていう瞬間があったんです。昔、思い描いた前田吉朗になりたいために、今、一生懸命練習しとる気がするんです。
──そんなご自身を今、どのように感じているんですか?
前田 自分にとっては、いいことだと思っているんです。戻ったような気もするし、成長したような気もする。“温故知新”って言うんでしたっけ? あんな感じなんです(笑)。
──とても素敵なことだと思います! ただ、今回は地元・大阪での試合です。どうしても“見られる”ということを意識してしまうんじゃないかと思うのですが……?
前田 (しみじみと)そうなんすよ……、そこなんすよ。最近、大阪ではロクな結果を出していませんからね。ひどい内容、結果も伴ってないし、「ここらへんで!」と思わなあかんのですけど……うん、申し訳ないんですけど、そこもあまり考えてないんです。すみません! 自分、考えが180度変わりすぎですよね。リングの上で言うた言葉と全然違いますから(笑)。
──いやいや、より前田選手の試合が楽しみになってきました! では最後に、『DREAM.12』に向けて何か意気込みがあればお願いします。
前田 この世界でやっていこうと決めたとき、そのときなりたかった自分というのは、それはファン的な心理なんですよね。だから、そこで思い描いた自分を目指しながら全力を尽くせば、見ているファンの人にも伝わる試合ができると思うんですよ。本当に無責任なんですけど、自分が伝えられる範囲のことを表現できれば、それでいいと思っているんです。伝わる伝わらんは相手あってのことですから分からないですけど、もし伝わらなかったとしたら、それは多分、自分の闘いの中に「純粋に相手を倒そう」という気持ちじゃなくて、「ポイントで勝ってやろう」とか、そういう気持ちが入っていると思うんです。とにかく今回は闘うことに専念して、純粋に、すべての力でもってチェイスを粉砕しに行くんで、それを見て何かを感じ取ってくれればと思います、はい。全力でチェイスを倒しに行きます!


【『DREAM.12』対戦カード】
■DREAMフェザー級ワンマッチ
前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)vsチェイス・ビービ(アメリカ/HITスクワッド)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
藤原敬典(日本/秋本道場ジャングルジャンクション/チームZST)vs宮下トモヤ(日本/パワーオブドリーム)
■DREAMライト級ワンマッチ
エディ・アルバレス(アメリカ/エリートXC/ファイト・ファクトリー)vs菊野克紀(日本/ALLIANCE)
■DREAMライト級ワンマッチ
弘中邦佳(日本/マスタージャパン)vsパーキー(韓国/CMA Korea)
■DREAMウェルター級ワンマッチ
マリウス・ザロムスキー(リトアニア/ LONDON SHOOT FIGHTERS)vsペ・ミョンホ(韓国/CMA Korea)
■DREAMミドル級ワンマッチ
ゼルグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/ LONDON SHOOT FIGHTERS)vs桜庭和志(日本/LAUGHTER7)
■DREAMミドル級ワンマッチ
パウロ・フィリオ(ブラジル)vsユン・ドンシク(韓国/チーム・ユン)
■DREAMミドル級ワンマッチ
柴田勝頼(日本/LAUGHTER7)vs石澤常光(日本/フリー)