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2008年4月7日

「結構、トラウマって抜けないものです」
田村潔司インタビュー

4・29『OLYMPIA DREAM.2 ミドル級グランプリ2008 開幕戦』(さいたまスーパーアリーナ)でのミドル級グランプリ1回戦で船木誠勝と対戦する田村潔司にインタビュー。船木戦への思いを語った。

■「“やってみたい”という気持ちはありました」

――ミドル級グランプリ参戦が決定しました。今の心境から教えてください。
田村 試合が決まったので、そこに向けて自分を追い込んで練習をしようと。あと1ヶ月くらいですよね? 時間的にもちょっと余裕を持って準備ができると思います。今までは出場が決まるのが1週間前とか3日前とかだったんですけど、そっちのほうが“もう、1週間の練習でいいや”って気は楽なんですけど、スタミナだったりとか、そういう面がやっぱり試合で出ちゃうんですよね。
――DREAMというイベントに出場することについてはどう思いますか?
田村 自分が参戦するに当たって一番の問題は、多分、ルールですね。多分、旧PRIDEルールに近い採点だったりジャッジになると思うので、それによって闘い方とか戦法が変わってくるので、それを頭に入れながらやりたいなと思います。それはこの前、セコンドに付いたときに感じました。
――『DREAM.1』ではミルコ・クロコップ選手と闘った水野竜也選手のセコンドに付かれていました。
田村 内容としては一方的だったんですけど、彼はリングでミルコと向かい合って、自分から仕掛けていった。そこはすごい可能性を感じたところでした。彼をあの試合だけで評価してほしくはないですね。
――今回はトーナメントとなります。
田村 1試合1試合、気持ちを切り替えてやるだけですね。8年前に32人参加のトーナメントに出たことがあるんですけど、勝てば勝つほど“負けられない”という気持ちが強くなっていったんですよ。そう考えると滅入っちゃうんで、1試合1試合、全力を出し切って、気持ちを切り替えてやっていこうと思います。
――狙うはやはりベルトですか?
田村 それはベルトは巻きたいですよ。ベルトを巻くには16人参加だから、4回勝たないといけないわけですよねぇ……って、ほら、そう考えちゃうと気が滅入っちゃう(笑)。
――船木選手の印象を教えてください。
田村 パンクラスという一つの団体のトップに立って、メインも張って、その重圧に耐えてきたわけですから、他の人とは違うオーラがありますよね。
――かつては同じUWFのリングに立つ存在でした。どんな先輩でしたか?
田村 明るくて楽しい先輩でしたね。先輩だったので言うことは聞かないといけなかったんですけど、威圧感というかそういうのはなかったですし、これは失礼な言い方になりますけど、友達みたいな感覚で接していました。僕の下に垣原(賢人)と冨宅(飛駈)がいて、船木さんと鈴木(みのる)さんと僕の5人で、練習もそうですけど、プライベートでもよく遊びに連れて行ってもらいましたしね。練習ではよく極められたイメージが強いです。
――船木選手とは対戦することがなく、UWFは1990年に分裂。袂を分かったわけですけど、その後の藤原組やパンクラスでの活躍はチェックされていましたか?
田村 マメにチェックするようなことはしてませんでしたけど、やっぱり自然と目には入ってきました。
――そんな船木選手と18年の時を経て対戦します。
田村 まさか対戦するとは、全然思っていなかったですね。船木さんは一度選手として完全燃焼されていましたし、まさか同じリングで向き合うなんてことは想像もしていなかったですね。
――やりたい相手ではありましたか?
田村 そうですね。憧れの選手でもあったので、当時から口には出していなかったですけど、“やってみたい”という気持ちはありました。でも、“知っている人とはやりたくない”という気持ちもあるので、今回決断するのはちょっと重かったです。肌を合わせてみたい気持ちもあるけど、やりたくない気持ちもある。だから、もし倒すにしても、力一杯ぶん殴って倒してやろうという気持ちにはなれません。「それは甘いだろう」と言う人もいるでしょうし、自分でもそう思うときもありますけど……なんか、いろいろ複雑な気持ちです。
――船木選手は「彼が練習生時代のときは、自分のほうが明らかに強かったですから、そのときの仕返しだと思って向かってきてほしいです」とおっしゃっていましたが?
田村 そういう気持ちではないので、逆に……非常にやりにくいんですよ。試合になったら分からないですけどね。まったく接点がなかったら、ほんとボコボコにする気持ちで行くと思うんですけどね。

■「なるべく弱いところを見せないようにしたい」

――船木選手の7年のブランクについてはどう思いますか?
田村 試合勘という面で言うと、割と早めに戻ると思います。普通の選手とは違いますから。あと、引退するとイメージがガラッと変わることが多いじゃないですか。だけど、7年も現役から離れていたにも関わらず、しっかり体やコンディションを維持してきたのはすごいなと思いますね。試合勘と肉体はすぐに戻る。あとは、心技体の“心”の部分だけでしょう。
――では、今回対戦するにあたって、船木選手は大晦日のような感じではないと?
田村 そうですね。大晦日も結果ああゆう形になりましたけど、試合が長引いたら分からなかったと思いますし、あれだけで船木さんを評価するのはおかしいと思います。
――田村選手との試合を控え、船木選手はどんな気持ちでいると思いますか?
田村 どうだろうなぁ……。多分、船木さんは僕のことを過大評価している部分が大きいと思います。でも、逆に僕は昔の船木さんのイメージをずっと引きずっているんで、なるべく弱いところを見せないようにしたいなと。結構、トラウマって抜けないもので、そういうところは見せたくないですね……って言っちゃっていますけど(笑)。
――ハッハハハハ! 3月27日の記者会見を欠席された理由というのは、その“弱いところをなるべく見せないようにしたい”というところからですか?
田村 あの日は……、ちょっとかさぶたが(笑)。
――あっ、そうでしたか(笑)。それでは最後に意気込みをお願いします。
田村 お互いが違う道を歩んできて、18年の歴史を背負って闘う。複雑な心境ではあるんですけど、お互いがこういう環境、タイミングで試合ができるということは、すごい恵まれているなと感じます。多分ですけど、船木さんもモチベーションは上がっていると思いますし、自分も決断するまでは重かったんですけど、決まったら決まったでモチベーションを上げて頑張りたいと思っています。お互いがモチベーションを上げられる相手というのは、なかなか少ないですからね。あと、昔のファンの人にたくさん見に来てもらいたいです。いい闘いにしたいですね。あっ、それと、4月20日の『プロレスリングU-STYLE』(西調布アリーナ)でのトークショーでも船木さんとの試合についてお話ししますので、ぜひ見に来ていただければと思います。ありがとうございました!