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2011年2月16日

「もし次がタイトルマッチじゃなかったら、じゃあ相手は誰なの?」
宮田和幸インタビュー

昨年大晦日『FieLDS Dynamite!! 〜勇気のチカラ2010〜』で行われた宇野薫とのDREAMフェザー級ワンマッチに勝利した宮田和幸にインタビュー。宇野戦を振り返るとともに、今年の抱負を語ってもらった。

■「自信過剰になって言っているんじゃないんですよ」

──昨年大晦日は3年ぶりの『Dynamite!!』出場を果たしたわけですが、久々の大晦日のリングはいかがでしたか?
宮田 試合をすること自体はいつもとそんなに変わらなかったんですけど、ビッグイベントということで、あと対戦相手も宇野君だったので、普段そんなに熱心に格闘技を見ていない人にも知られている選手なので周りの反応は大きかったですね。
──BRAVEのキッズレスリングの子供達と一緒に入場されましたが、子供達の反応はどうだったんですか?
宮田 僕はジムの中ではちょっと怖い先生なので(笑)、直に反応を見ているわけじゃないんですけど、コーチや親御さんの話を聞く限りだと、みんな喜んでくれたようです。自分の息子も須藤元気戦以来2度目だったんですけど、僕の試合を観戦しに会場に来て、自分の子供もそうですし、キッズレスリングの子供達にも、多少夢を与えられたかなと思います。当然勝つつもりでやっているけど、負けることもあるじゃないですか。だから、それ以上に試合に向かう姿勢を見せたかったんですよね。子供達もこれからキッズレスリングの試合もそうだし、人生においても修羅場を潜らなければいけないときもあるだろうし、そういう意味で厳しい相手に挑んでいくという姿を近くで見せられたことはよかったんじゃないかと思っています。なおかつ勝てたのでほんとよかったです。
──改めて宇野戦を振り返ってみていかがですか?
宮田 一番はやっぱり勝ててよかったということですね。今は勝敗に凄くこだわっていて、それが一番なんですよ。2009年に一年間干されて、もう絶対に負けないと思ったんですよね。
──2009年というのは、DREAMフェザー級GPにエントリーされなかったことですね。
宮田 そこに選ばれなかったことに対して、いい意味で見返してやろうと思ったんです。DREAMの方達に対しては、もちろん感謝の気持ちが根底にはあるんですけど、その上に「絶対に見返してやろう」と。フェザー級GPに選ばれなかったことをポジティブに捉えて、それが大きなモチベーションになっています。そういう意味では今回も勝てたというのが一番。内容に関してはあれでしたけど……相手が宇野君だったので勝てればなんでもいいかなと。
──1Rはテイクダウンには行かず、打撃で勝負に行っているように見えたのですが。
宮田 1RはKOを狙っていたんですよ。映像を観てもらえれば分かると思うんですけど、タックルにも行ってないし、ずっと一発を狙っていたんです。宇野君がグラウンドで極められたシーンはほとんどないので、大晦日だし、僕のこれからのレベルアップのためにも、間合いを詰めていって打撃で仕留めようと思っていたんです。だけど、思っていた以上にボクシングテクニックがあったんですよね。やっぱり何発かもらったので、深追いはせず。僕も打撃には自信があるし、打ち合ってもよかったんですけど、事故で負けるのは絶対にイヤなんです、今は。逆に言うと、そういう事故の可能性があるほうに首を突っ込まなければ、負ける気がしないんですよね。
──凄い自信です。
宮田 あの〜、僕は自信過剰になって言っているんじゃなくて、本当に自信があるから勝っているし、辞めてないんです。ボロボロになるまでやるつもりはないんですよ。レスリングのときもそうだったんですけど、結果が出てない時期とかもあったんですけど、実際は自分が一番強いと思ってやっていたし、今もそうなんです。それがなくなったときは辞めるときなんです。だから、宇野君が65でやるというのも、自分で言うのもあれなんですけど、僕がいるから厳しいなとは思いますよね。それは自分が一番強いと思っているからです。

■「危ない角度で落とせばかなりヤバイ」

──試合後に「KOできるプロ仕様のジャーマンがある」とおっしゃっていましたよね。
宮田 それはしなきゃいけないなと思いますね。ただ、練習では出せないんですよ。
──練習相手に大きなダメージを与えてしまうからですか?
宮田 そうなんです。ただ、ジムにマットを整備したんで、これから精度を上げる練習ができます。要は角度なんですよね。僕はアマチュア出身なんで、どうしても相手を痛めつけるというよりも、ポイントを取るような感じになっちゃうんです。レスリングではキレイに投げれば5ポイント取れる技なんですけど、その投げ方が体に染みついちゃっているんですよね。だから、見た目はいつもよりキレイではないんですけど、危ない角度で落とせばかなりヤバイと思います。というかヤバイ。それと、あともう一つあるんですよ。
──投げ技ですか?
宮田 はい。ただ、体力の消耗とかを考えると、試合の中で出すチャンスがあっても考えちゃうんですけどね。
──そこで仕留められなかったときに体力を消耗してしまうと。
宮田 そう。だけど、それはハンパじゃなく盛り上がりそうな技なんで、次回。
──チャンスがあれば出すと。
宮田 チャンスというか、100%やります。最近、そればっかり練習していますから。周りには「お前、なんの練習してんだ?」って思われていると思うんですけど(笑)。
──今年から現在63キロ規定のDREAMフェザー級がフェザー級とバンタム級に分かれるという動きがあります。宮田選手としてはフェザー級ですよね?
宮田 そうですね。体調とか考えれば、65です。61まで落ちなくもないと思うんですけど、それだと命を削っちゃうことになりますからね。63のときもちょっとヤバかったですから、健康的に落とせる範囲でベストは65かなという感じです。
──宮田選手の場合、当然減量は辛い作業だとは思うんですけど、他の選手と比べて苦もなく落としているという印象があります。
宮田 そうですね。計量の前日にインタビューだったりフォトセッションがあるじゃないですか。
──大会の2日前ですね。
宮田 その時点では、脂肪はないけど、水分はたっぷり含んでいる体なんです。だから元気なんですよね。イライラもしないし。あと、僕は今、週7でジムで働いていて、自分の中で格闘技はやるのも教えるのも趣味でもありますから、趣味+仕事という最高の環境なんですけど、そこでイライラしているのもおかしいじゃないですか(笑)。そこで考え出した減量法というか、最終日だけはちょっとキツいんですけど、計量前日までに脂肪は落としておいて、計量当日に一気に水分を落とすという方法を採っています。
──狙うはDREAMフェザー級のタイトルだと思うんですけど、昨年大晦日の試合後には「次かその次あたりでタイトルマッチがくると思う」ということをおっしゃっていました。
宮田 別に次の次でもいいんですけど、普通に考えたら次だと僕は思っています。だってもし次じゃないんだったら、「じゃあ相手は誰なの?」って話なんですよね。もちろん僕がチャンピオンの立場だったら、「大晦日にタイトルマッチやって、次もタイトルマッチなのぉ?」って思うと思うんですよ。それまでに労してきた時間って並大抵のことじゃないと思うので、チャンピオンの気持ちは分かります。だから「次はないかなぁ?」ってやんわり言ったんですけど……、運営側もそんな感じなんですかねぇ?(笑)。まあでも、そこは主催者が決めることなのでしょうがないと思います。
──高谷選手とは練習することもあるそうですけど、もしタイトルマッチが組まれた場合、やりづらさというのはないですか?
宮田 リオン(武)君、宇野君といった一緒にメシを食ったこともある人とも試合をしてきたので、確かにあまりいい気分ではないですけど、組まれれば仕事ですから割り切ってやります。僕は相手を選んだことないですからね。
──宮田選手は屈指のテイクダウン能力を持っていますが、逆に高谷選手は立つ技術に優れていると言われています。
宮田 確かに高谷選手は立ち上がるのは相当うまいですね。ただ、ビビアーノ(・フェルナンデス)と僕の寝技も違うし、当然向こうのほうが上なんですけど、でも逆に、僕とビビアーノのレスリングの能力も段違いでしょう。だから、お客さんはそういうところも観てもらって、高谷選手との試合が組まれたら楽しんでもらいたいですね。
──最後にファンへメッセージをお願いします。
宮田 そろそろ魅せる試合をしていきます。この前の『Dynamite!!』を見てもお客さんがたくさん来てくれて、やっぱり貴重な時間を割いて来てくれていますから、それはほんとにありがたいことだと思うんですよね。僕らもああいうところでできるのは幸せなことだし、たくさんのお客さんの前で試合をして、ちょっとでも沸かしたいなという気持ちが出てきました。当然勝ちには徹しますけど、勝って魅せられるような、それぐらい強くなってまたリングに上がりたいと思うので、そのときは応援よろしくお願いします。