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2010年9月2日

クラッシャーが語るD15青木真也戦、そしてこれから──。
川尻達也インタビュー

『DREAM.15』でDREAMライト級王座を懸け青木真也と激突した川尻達也。あれから1ヵ月半──。クラッシャーが7月の青木戦、そしてこれからについて語った。【取材日:2010年8月25日】

■「ほんとすべてを失った感じです」

──現在の左足の具合というのは?
川尻 だいぶ良くなりました。まだ完治ではないんですけど、腫れもだいぶ引いていますし、今のところ大丈夫かなって。普通にスパーリングもほぼ問題なくできている状態ですからね。もちろん歩いたり走ったりするのも全然問題ないんですけど、ただまだ足首が緩いから、テーピングで固めたりしっかりサポーターしてやらないと再発する可能性もあると思うので、気を付けています。
──全治まではどのくらい掛かりそうなんですか?
川尻 全治は3ヵ月って言われています。一応捻挫なんですけど、通常の捻挫は一方向によるものなんですけど、僕の場合は何方向かいってる状態みたいで、はい。3ヵ月経ったら多分、怪我する前と変わらない状態で練習できるようになると思います。
──試合を終えた直後の左足の状態というのは?
川尻 試合終わって歩いてみたら、思ったより痛くなかったんですよね。終わった直後は「やばいかな……」と思ったんですけど、抱きかかえられてまったく足を地面に着かないまま救護室まで行って、ギプスして足を着いてみたら「……あれ? 痛くない?」みたいな。
──アキレス腱固めの状態になって1分以上の時間が経過していました。
川尻 最初、足首はそんなに痛くなかったので大丈夫かなという感じだったんですけど、抜けなくて……という感じでしたね。僕の場合、痛かったらすぐにタップするんで(笑)。そこまで、タップするほどじゃないけど、抜けなくてヤバイなという。……あまり覚えてないんですけどね。映像を見てないのでどんな感じだったのか自分でも分からないです。
──映像は見ていないと。
川尻 見てないですね。一生見ないかもしれないし、今は見たいとは思わないです。見ることを体が拒否してるみたいで……。なんにも見てないんですよ。雑誌も見てないですし。
──では、リングで向かい合った青木選手というのも?
川尻 分からないですね、短過ぎて(苦笑)。でも、青木君に対しての印象というのは試合前も試合後も変わりないです。やっぱり強いなっていう。試合のときって興奮してるから、自分が何を言ったかとか試合中に何をしたのかというのはあまり覚えてなくて、試合のあとに映像を見て振り返って思い出して、そこで初めて何をしたのか思い出してくるんですけど、今回は映像を見てないので思い出せないんです。思い出したくなくはないんですけどね。ただ、悔しさというかむなしさというか、それは忘れることはなくて、多分、今映像を見たらそのまま飛び降りちゃうんじゃないかという(苦笑)。
──……。
川尻 青木君のほうが強かったから青木君が勝った。完敗ですね。ほんとすべてを失った感じです。格闘技で、自分がやってきたことすべてを。

■「今年中には絶対に復活したいなと思っています」

──気持ち的な部分で試合を終えてからこれまでの状態というのは?
川尻 ギプスをしているときはこの先どうなるのか分からない状態だったので結構落ちていましたけど、ギプスが取れて動けるようになってからは、下を向いていてもしょうがないから、とりあえず後ろは見ずに前だけは向いておこうと。一歩進むとかじゃなくて、前だけは向いておこうという。今はそういう状態ですね。とりあえず今は格闘技を楽しもうという。練習もスパーも、できることは限られているんですけど、楽しんでやっています。
──これからのビジョンというのをお聞きしたいのですが。
川尻 今はまだ先のことは考えられないですね。とりあえず足を治して、うん。この怪我がどこまで治るかというか、もう一回いけるかどうかも分からないですからね。
──えっ?
川尻 今まで以下の練習というか、今までのように自分を追い込めないのであれば、現役を続けるべきじゃないと思うし。まずは怪我を治して、しっかり練習ができる状態になるのかどうかを確かめてからですよね、その先のことというのは。妥協はしたくないんで、ごまかしながら現役を続けてもしょうがないというのがあるので、はい。そのためにも怪我を治しながらできることはやっとこうという。だから、まだ「よし行くぞ!」という感じでは全然ないです。
──それはネガティブに捉えているわけではなく?
川尻 もちろんポジティブにですよ。もう一回やりたいと思っているし、ファンの声を聞くと盛り上げてくれるから、それに応えたいと思うんですけど、実際やってみないと分からないというのも正直なところですからね。もし次の試合に向けてやっていく中で、以前に比べて追い込めてないと自分が感じたら、それはファンに対しても申し訳ないことだし、僕の中でも違うなと思うから、そうしたらもうしょうがないかなという気持ちはあります。というか、そういう覚悟でずっとやってきましたからね。自分の中で成長が止まったら続けるべきじゃないなというのは前からありました。でも、さっきも言ったように別にネガティブになっているわけじゃなくて、自分の中ではこれからも全然できると思っているし、もう一回あの舞台に立って自分を表現したいという気持ちはすごくあります。ただ、無責任に「もう一回タイトルに挑戦するまで頑張る」とかは言いたくないな、ということですね。
──もう一回できなくなる可能性があるという部分で、やはり怖さもあるんじゃないかと思ってしまうんですけど……。
川尻 そうですね。怖いです。けど、それが逆に格闘技の魅力だと思うんですよ。やるかやられるかというか、白黒ハッキリつくし、負けたほうがすべてを失うし、だから楽しいんじゃないかなと思うんですよね。
──完全復活を心から期待しています。
川尻 そう言ってもらえると嬉しいですね。闘いたいという気持ちはすごくあるので、焦らず、まずは万全の状態で追い込めるコンディションを作っていけるように怪我を治すと。そこからですね。そういうコンディションになれば自然と気持ちも盛り上がっていくと思うので、そこは心配してないです。
──分かりました。「次の試合はいつくらいにしたいですか?」という質問も用意してきたのですが、まだその状態ではないということですね。
川尻 いやいや、オファーが来れば。
──えぇ〜!!(笑)。足の様子を見てからじゃ!?
川尻 実際にオファーが来ちゃったら、“試合やりたがり”だからやっちゃうかも(笑)。まあ、今年中には絶対に復活はしたいなと思っています。
──ちなみに、試合を終えてから青木選手とは?
川尻 あ〜、喋ってないですね、そういえば。早く喋りたいです(笑)。なんて話し掛ければいいか分からないですけどね、ハハハ! 向こうも多分、話し掛けづらいと思うし、最初は微妙なんじゃないですか?(笑)。けど、俺は本当に闘えて良かったと思っているから、一緒に練習もしたいし、早く普通にしたいなと思います。
──心配しているファンも多いと思います。最後にメッセージをお願いできますか。
川尻 今、話した感じだと心配になっちゃいますかね?(笑)。結構大げさに言っちゃうほうなので、そんなに深刻なことではないんで、うん。だからみんなに言いたいのは、「もうちょっと待っててください」と。大丈夫だという自信はあるけどまだ分からないので、しっかり練習できて「もう一回!」と言えるときまで待っててほしいです。
──待ってます!!