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2010年7月1日

「自分がどれだけ強くなっているのかすごく楽しみです」
水野竜也インタビュー

7・10『DREAM.15』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMライトヘビー級ワンマッチ、メルヴィン・マヌーフに臨む水野竜也にインタビュー。現在、DREAMでジャッジも務めるマット・ヒューム氏指導のもと、アメリカ・ワシントン州シアトルでトレーニングを続ける水野に電話取材を敢行した。【取材日:2010年6月23日】

■「『必ずチャンスは来る』と、そう思うんです」

──『DREAM.15』メルヴィン・マヌーフ戦まで3週間を切りましたが、現在の心境から教えていただけますか。
水野 いよいよ来たなという感じですね。2年前にDREAMに出たんですけど、あのときはほんとただ“出ただけ”でしたから。やっぱり出ただけじゃなくて、そこで勝たないと本当の意味で出たことにならないと思うんです。だから、この2年間というのは、「いつかまたDREAMに出て勝つ」ということを頭に入れて、練習したり試合したりしていました。
──マヌーフ選手の印象はどうでしょう。
水野 やっぱりあの打撃ですよね。昔は最初から打撃でガンガン行っていたように見えたんですけど、最近はちょっと見たり、相手の様子を窺うような動きも見せているので、昔よりもやりにくい選手になっているなという印象です。あと、あの速さですよね。あの速さに対して、どう凌ぐかだと思います。みんな分かっていることなんですよ、速いっていうのは。みんな速いと思って闘って、それでももらっちゃうということは、思っている以上に相当速いと思うんですよね。だから、そこをどうかいくぐるかの勝負だと思います。
──水野選手は現在、アメリカ・シアトルのマット・ヒュームさんの元でトレーニングをされているわけですが、今はマヌーフ対策を中心に?
水野 そればっかりです。本当にそれしかやってないですね。相手の弱点というか、そういうところも見えているところは見えているので、そしてそこを中心にマット先生が練習を立ててくれているので、その練習ばかりです。あとはもう、試合で自分がいかにそれを出せるかですね。今自分がやっている相手対策を、試合当日の15分間で全部出せるかというところだと思います。
──昨年11月にスウェーデンで試合をされて見事なTKO勝利を収めたわけですけど、そのときもマットさんが対策を考えたんですか?
水野 そうですね。あのときもマットさんを中心にみんなで相手の映像を何回も見て、研究して、ということをやってもらって安心して試合できました。自分はマット先生を信頼しています。作戦に関してはもう全部任せているので、自分は言われたことをいかに試合で出すかです。
──シアトルでのトレーニングの一日はどのような流れなんですか?
水野 午前10時から1時間半くらいフィジカルをやって、で、夜に2時間くらいテクニックだったりスパーリングだったりですね。
──一緒に練習された桜井“マッハ”速人選手、西浦“ウィッキー”聡生選手が前回の『DREAM.14』に出場した際、シアトルでのトレーニングは過酷だったということをおっしゃっていたんです。
水野 フハハハハ!
──一体どのような感じなんですか?
水野 そうですねぇ、スパーがガチ……というガチでもないんですけど、とにかくみんな集中力がすごいんですよ。例えば、スパーを5分間やったら、その5分間の集中力というのがみんなすごいから、こっちも集中力を上げていかないと怪我をしちゃうんですね。みんなデカいしフィジカルもあるので、気を抜くとほんと危ないですから。あと、フィジカルはやっぱり日本人とは違うなという印象は受けましたね。やっぱり同じフィジカルトレーニングをやってても追いつかない部分ってあるんです。そういう人たちが毎日トレーニングしているわけですから、日本人がそれに追いつくのは本当に大変だと思います。
──今月17日のDREAMオフィシャルサイトでのネット中継に電話出演された際、ファンからの「アメリカで得たことを一言で言うなら何?」という質問に「闘うためのモノ、全部」ということをおっしゃっていましたよね。
水野 はいはい。
──しいて言うならその全部の中で何が一番大きいですか?
水野 う~ん……テクニックですかねぇ。これはアメリカだからというよりもマット・ヒューム先生がそういう方なんだと思うんですけど、すごく緻密でどういう場面に対しても適確なテクニックを持っている方なんですよね。自分は昔はそのテクニックを知らなかったので、強い相手とどう闘っていいか分からなくて、そのままフィジカルだけで闘っていた感じなんです。でも今は、そのテクニックを教わって、相手がこう来たらこうすればいいという適確なテクニックを持っているので、そう簡単にはやられないという自信がつきました。
──それは非常に大きな成果ですよね。
水野 ほんとそう思います。試合中にその局面局面で何をしたらいいのか分かるから、試合をしていても冷静でいられるし怖くないんですよ。やっぱり試合で一番怖いのはパニックになることなんですよね。何をしたらいいのか分からなくてパニックになって、そこから負けに繋がることが多いと思うんです。
──なるほど。
水野 いろいろな局面でのテクニックを重視して、同じことを何回も何回も反復練習しているので、そうそうパニックに陥ることはないと思います。ほんとにもう、ひたすら2時間同じことの反復練習っていう日もあるくらいですからね。
──体に染み込ませるというか。
水野 そういうことですね。それによって考え方というか気持ちの部分も変わったと思います。
──メンタル的にも影響があったと。
水野 昔だったらメルヴィンって名前を聞いたときに多分、「怖いなぁ…」って思ったと思うんですよ。でも今は、怖いというよりも「必ずチャンスは来る」と、そう思うんです。
──水野選手がどう進化されているのか非常に楽しみです。
水野 自分がどれだけ強くなっているのか、自分もすごい楽しみです。

■「ここで勝ってなんとか面白いことを起こしたい」

──今回の試合に勝てば、次は初代DREAMライトヘビー級のタイトルが懸かった試合となりますが、そのへんは意識されますか?
水野 タイトルというのはやはり目標としては常に描いていることなので、今回の試合が決まる前くらいは考えていたんですけど、今はとにかくそっちは忘れて、相手のことだけを考えるようにしています。
──今月22日にやはりDREAMオフィシャルサイトで『DREAM.15』緊急座談会というのが行われたんですけど、そこで笹原圭一DREAMイベント・プロデューサー、佐伯繁DEEP代表ともに「日本人の93キロで期待できるのは水野」ということをおっしゃっていました。
水野 あっ、そうなんですか。それは励みになります。そう言ってくれる人がいるというのは嬉しいことです、はい。周りがそう言ってくれると、そうなんじゃないかと自分でも思えるので(笑)。例えば、自信がなくても、周りが「いける! いける!」と言ってくれれば、自分もそう思ってくるじゃないですか。そういう感じですよね。だから、そう言ってくれるのはとても嬉しいです。その期待になんとか応えたいですね。
──マットさんも「ミズノ、いけるよ!」と。
水野 やっぱり言ってくれますけど、内心はどう思っているか分からないです(笑)。
──2度目となるDREAMのリングでどんな試合を見せたいですか?
水野 やっぱり気持ちの出る試合をしたいですね。自分はそんなにフィジカルも強くないし、魅せられるほど面白いものもないですから、やっぱり気持ち、自分は試合のときはいつも「命を削る」ということを頭の中に入れているんですけど、命を削って人に面白いものを見せられればというふうに思っています。「命を削る」なんて言っちゃうと……大それた感じなんですけど、試合のときはいつもそれを念じているんです。前回のミルコ戦のときは、自分の人生で一番最悪な試合をしてしまったので、今度こそはと強く思っています。
──最後にファンへメッセージをお願いします。
水野 今回は準備万端で試合に臨めます。ここで勝ってなんとか面白いことを起こしたいと思います。ぜひ応援よろしくお願いします!
──練習でお疲れのところ、ありがとうございました!
水野 いえいえ、久々に日本語が話せて楽しかったです(笑)。

【『DREAM.15』既報対戦カード】
■DREAMライト級タイトルマッチ
青木真也(王者/日本/パラエストラ東京)vs川尻達也(挑戦者/日本/T-BLOOD)
■ライト級ワンマッチ
J.Z.カルバン(ブラジル/アメリカン・トップチーム)vs菊野克紀(日本/ALLIANCE)
■ライトヘビー級ワンマッチ
メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショー・タイム)vs水野竜也(日本/U-FILE CAMP.com)