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2010年5月6日

「DREAMが一番になってほしいから、この状況はなんとかしたい」
大塚隆史インタビュー

5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMフェザー級ワンマッチ、宮田和幸戦に臨む大塚隆史にインタビュー。1年2ヵ月ぶりとなるDREAM、ケージでの試合、そして日本のMMA。若きDEEP王者が宮田戦に向けての意気込みを語った。【取材日:2010年4月30日】

■「三島戦も山崎戦も、あれぐらいできて当然」

──5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)宮田和幸戦が決定しました。今の心境から聞かせてください。
大塚 この前の山ちゃんとの試合(2・28『DEEP46』山崎剛戦)が終わってから、「次、(DREAM)あるかも?」みたいな話は聞いていて、自分の中でも「そろそろあるかな?」と思っていたので、山ちゃんとの試合が終わってちょっとしてからすぐに準備してたんです。オレなんかはDREAMの中ではまだまだ下っ端なんで、急なオファー、それこそ1週間前とかのオファーがあるかもしれないんで、最後まで試合あるつもりで準備していこうという気持ちで練習していたんで、早く決まってよかったなという思いですね。試合あるかもって中で練習してたんで、ずっと高いモチベーションでいい練習できてます。
──4月23日の記者会見では「ワクワクドキドキしています」ということをおっしゃっていました。
大塚 やっぱりDREAMは違いますからね。ハコもでかいし、演出から何から。1年前に出たとき、ほんと楽しかったんですよ。だからもう一度DREAMに上がることを目指してやってきたんで、決まってほんとワクワクです。


──DREAMデビューとなった1年前の『DREAM.7』(ビビアーノ・フェルナンデス戦)前と今とではやはり心境は違いますか?
大塚 「楽しみ」という部分では一緒なんですけど、今回は一度出ている分、慣れた部分もあるし、「楽しみ」プラス「勝たないといけない」という心境ですよね。前回出たときは、どこかに「出られただけで満足」というのもあって、もちろん勝たなくてはいけないというのもあったんですけど、今回は一番に「倒して勝たないといけない」という思いがあります。
──DREAMフェザー級一回戦のビビアーノ戦というのは、今振り返っていかがですか?
大塚 1R終わったときに「これは勝てる!」と思っていたんですよ。向こうはスタミナ切れてきてたし「勝てる!」と確信してたんですけど負けて、でも負けたけど、気持ちよかったんですよね。中学の頃からPRIDEを見てきてたので、お客さんがたくさんいる中、長い花道歩いて、闘って、全部が全部、楽しくて楽しくてしょうがなかったんですよ。でも、そこで負けた直後から、今もそうなんですけど、「ここで勝ったらもっと気持ちいい。この舞台で勝ちたい!」という思いでいっぱいで、その気持ちで一年間やってきましたね。
──その後、昨年8月『DEEP43』の三島☆ド根性ノ助戦に勝利してDEEPフェザー級タイトルを奪取。先ほどお話に出ました『DEEP46』の山崎剛戦にも勝利を収めています。
大塚 まあ、三島戦も、みんな「三島が勝つ」と思っていたと思うんですけど圧倒できましたし、山ちゃんとの試合も……う〜ん。
──ん? 完勝だったと思うんですけど。
大塚 それはそうなんですけどね。圧倒できて勝ったんですけど、1週間くらい経ってから「果たしてオレは強いんだろうか?」という気持ちになってきちゃったんですよね。
──どういうことでしょう?
大塚 だって、山ちゃんには申し訳ないけど、中堅じゃないですか。これが例えば、高谷(裕之)選手を相手にああいう試合できたりとか、トップの人が相手でああいう試合ができたなら自分の強さってのは感じると思うんですけど、山ちゃん相手だったらあれくらいできて当然ですからね。三島戦も山崎戦もそうですけど、ビビアーノに負けてからだいぶ変わったんですよ。ビビアーノ戦では、下になっちゃったし、倒せなかったし、フィジカルの部分で負けちゃったところもあったので、練習すべて全部見直したんです。だからあれぐらいできて当然だし、ビビアーノともしっかり段階踏まえてもう一度やりたいっすね。

■「オレは四点ヒザも踏みつけもサッカーボールキックもありがいいです」

──宮田選手の印象というのは?
大塚 やっぱり下にならないですよね。70のときは相手もデカかったりして思うようにいかなかった部分もあると思うんですが、階級落としてからは連勝中ですからね。でも、脅威ではないなという感じです。宮田選手が階級を落としてきた時点で闘う一人として見てきたんですけど、脅威ではないですね。。
──いつか闘う相手として見ていたんですね。
大塚 試合決まってないときから「オレならこうするな」とか思って見てましたから。これは宮田選手だけに限らず、同じ階級でトップのほうにいる人たちは全員に対してもそうなんですけどね。で、宮田選手は、強いけど脅威ではない。勝てる相手だなと思ってました。
──弱点というか、そういうところが見えるから「脅威ではない」と?
大塚 そうですね。宮田選手は後半、ペースダウンするんですよね。(DJ.)taikiとの試合だったら、後半疲れてきてもタックルで倒しているんですけど、オレだったら「ここは切れるな」というタックルはたくさんありましたし。まあ、全然穴はあります。総合力でオレのほうが上回っていると思います。
──逆に警戒すべき点を挙げるとするとどこでしょう?
大塚 もちろんそのタックルですよね。あと、そこまで脅威ではないんですけど、パンチ。taiki戦のときも要所で当てていたんですけど、タックルと同じモーションでパンチが出たりするんですよね。あとは去年のDEEPで韓国の選手(ソ・ジェヒョン)に極めていた、ガブってからのワールド。あの人、ワールドが得意なんで、警戒するとしたらそこらへんですね。
──記者会見では「フィジカル勝負したい」ということもおっしゃっていましたが、宮田選手のフィジカルというのはどう評価しているんですか?
大塚 すごいと思いますよ。元々70でやってて体重もあるし、レスリングでシドニー(五輪)にも出ているんで、フィジカルっていうのは相当なものだと思います。DJ.taiki戦も、試合自体はつまんなかったですけど、完封でしたからね。タックルで倒しまくって抑え込むという。63であのフィジカルというのは相当強いと思います。まあ、オレも全局面で真っ向勝負するつもりなんで、体力勝負になるでしょうね。
──どんな試合になると思いますか?
大塚 宮田選手が下から十字行ったり、三角行ったりするイメージはないし、オレもないすから、上の取り合いっこになるんじゃないですかね? 試合が決まって佐伯(繁DEEP代表)さんに会ったときに、「オレ、宮田の上になって、15分間ずっと試合させんからね」って言ったら、「お前、それやったら、次使われんて!」って言われましたけどね(笑)。
──ハッハハハハ!
大塚 逆に、宮田選手からずっと上を取り続けて圧倒したらすごいっすけどね(笑)。まあでも、倒しにいきますよ、はい。やっぱり倒す試合しないと、お客さんは満足しないし、認めてくれないし、使ってくれないし、自分自身もそういうスタイルにしたいし、できると思うんで。で、今回、宮田選手を倒すことができれば、そういう部分でアピールになると思いますし。宮田選手とは打ち上げみたいな席で話したことあって、向こうは知り合いとか思っているかもしれないけど、オレは全然そんなこと思ってないんで、遠慮なくガンガン倒しに行きます、はい。
──急遽、ケージで行われることについてはどのように感じていますか?
大塚 別にどっちでもいいって感じなんで、「よろこんで!」って感じですね。別にケージだからイヤだとか良かったというのはないですね。
──ケージでの試合は初ですよね。
大塚 そうですね。でも、特別ケージを想定した練習というのは多分、しませんね。ケージに押し込んだり、ケージ使って立ったりとか、別にいいんじゃないのって感じなんで。いろいろケージの試合見ててもなんとかなるっていうか、そういう局面になったらできるだろうなっていう。みんなもそうかもしれないんですけど、オレの場合は特に、ケージだろうがリングだろうがオレのやることは変わらないですからね。
──今回ケージで行うことになった理由として、笹原EPは青木選手のストライクフォースでの敗戦というのも一つのキッカケということをおっしゃっているのですが、青木vsメレンデスはご覧になりましたか?
大塚 見ました。悔しいですよね、もう。青木選手はDREAM、てか日本を背負って行ったんで「負けてもらっちゃ困る!」って思いで見てて、五味(隆典)選手とかも、もちろん応援してましたけど、やっぱりあのへんとはもう見る目が違うじゃないですか。だから、負けた後はショックでしたよね。
──その試合もあり、笹原EPは、DREAMが世界と向き合っていくためには「ケージなのかリングなのか、ルールを変えることがいいことなのかどうか、『DREAM.14』をケージでやることによって、皆さんからご意見をいただいて、DREAMの進む道を見つけていきたい」と。大塚選手の意見というのを聞かせてください。
大塚 UFCとストライクフォースがDREAMより勢い的に上に来ちゃっている中、DREAMのチャンピオンがストライクフォースに乗り込んで、ストライクフォースのチャンピオンに敗れるっていうのは、結構ショックで、やっぱり悔しいですよね。オレは全然、DREAMを背負うとか、そういう立場じゃないですけど、DREAM、日本がアメリカの下と見られるのはやっぱり悔しい。で、結局、勝った向こうが世界基準と見られるのはしょうがないことで、この前の青木選手も、確かにケージって部分で負けたのかなという意見も見方によってはあるのかなというのもあるので、ケージで大会をやる必要性というのもあるのかな……と思いますよね。ただ、リングで闘うっていうのが日本では続いていて、PRIDEもそうだったし、やっぱりそれは残していきたいし、そこで強くなりたいというのがあります。だから、全大会をケージにしなくても、リングとケージの半々で行っていくというのもありかなと思います。
──大塚選手自身が望むルール、ケージかリングかっていうのは?
大塚 正直、どっちでもいいんですよ。よりフリーに闘える環境ならば。リングもいいけど、ケージだったら体がリング外に出ちゃうこともないし、わざとリング外に出たりとかロープを掴むとか小賢しいヤツはそういう反則もするので、そういう面ではケージのほうがいいのかな、とは思います。ただ、ルールもフリーなほうがいいので、オレは四点ヒザも踏みつけもサッカーボールキックもありがいいです。
──より制限のないルールがいいと。
大塚 ええ。「それは反則」って言われても、本能的に出ちゃうようなときってあるじゃないですか。三崎vs秋山のときも、最後の三崎選手のキックが反則だと言われたけど、あんな手が付いてるのか付いてないのか微妙なところだったら、本能的に出ちゃいますからね。そういう面では、四点ヒザも踏みつけもサッカーボールキックもありがいいっすね。まあでも、日本がアメリカの下って見られているこの状況ってのはどうにかしたいですよ。
──一部専門誌には「“日本最弱”なのか!?」というキャッチコピーも躍りました。
大塚 オレはDEEPのチャンピオンだし、まだまだDREAMを背負うとかそんな立場じゃないけど、DREAMが好きだし、やっぱり日本のDREAMが一番になってほしいから、この状況ってのはなんとかしたいですね。
──そういう部分も含めて、約一年ぶりとなるDREAMでどんな試合を見せたいですか。
大塚 ガンガン行きますよ。とにかく倒しに行きます。KIDvs宮田戦を彷彿させるような。ゴング&ダッシュですよ。お客さんは、オレに勝ってほしいとかあんまないと思うんですよ。マッハvsニック・ディアスだったらお客さんはそりゃマッハさんを応援しますし、桜庭さんだったら誰が相手だろうがみんな桜庭さんを応援するし、オレも応援するし(笑)。でも、オレと宮田選手なんて、正直、どっちが勝とうがお客さん的にはどっちでもいいんですよ。そんなことはオレも分かっているんです。試合が面白くて、どっちが強いのかハッキリ分かるような試合をお客さんは見たいわけで、「大塚、勝ってくれ!」なんて誰も期待してないし。だから、オレができることは、とにかく宮田選手と真っ正面からアグレッシブにぶつかり合って、お客さんに喜んでもらうことだけ。オレに対して勝ちに徹する試合なんて誰も望んじゃいないし、アグレッシブに倒しに行くだけですよね。で、もちろん勝ちます。とにかくガンガン行きますよ、ガンガン。

【『DREAM.14』既報対戦カード】
■DREAMウェルター級ワンマッチ
桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)vsニック・ディアス(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
高谷裕之(日本/高谷軍団)vsヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
所英男(日本/チームZST)vs西浦“ウィッキー”聡生(日本/STGY)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
宮田和幸(日本/Brave)vs大塚隆史(日本/AACC)