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2010年4月30日

「自分の人生における瞬間が皆さんのプラスになれれば幸いです」
ミノワマンインタビュー

3・22『DREAM.13』(横浜アリーナ)で行われた無差別級ワンマッチでジミー・アンブリッツに勝利したミノワマンにインタビュー。スーパーハルクトーナメントチャンピオンとしての初戦となったアンブリッツ戦を振り返ってもらった。【取材日:2010年4月6日】

■「パウンドに自分が吸い込まれていくような感じ」

──2010年初戦となりました『DREAM.13』のジミー・アンブリッツ戦は見事な勝利でした。
ミノワマン 去年、2009年の一発目は負けてしまい、それでやっぱりスタートが出遅れたというか、暗黒の春、青春ではなく、黒春を過ごしました、周りの関係者もファンの方もそういう黒春だったと思います。ですから、今年はやっぱりいい春を迎えたいという気持ちもありましたので、それには確実な勝利が大事だったので、絶対に落としたくない試合に勝ててほっとしました。
──アンブリッツ選手の印象を教えてください。
ミノワマン 「柔良く剛を制す」という言葉がありますが、その逆、「力は技を欠き消す」こともあるんだなと感じました。チェ・ホンマン戦のときもそうだったんですけど、普段、練習しているときの返され方とは違う予想外の返され方、どうしようもない返され方です。てこの原理を無視されるというか。てこの原理で支点、力点、作用点を使ってうまくコントロールしているのに、それが支点、力点、作用点ごと押さえつけられ、ひとひねりで、テコの理論をブチ壊し欠き消すことができるんだなと。それが予想つかないところで起きる。あのパワーはほんと驚きましたね。
──アンブリッツ戦でいうと、そういったシーンというのは?
ミノワマン 下になってスイープのチャンスが3回くらいあったんですね。相手が同じぐらいの体重だったり、ちょっと重いぐらいの体重、100キロぐらいの選手であれば、今までの練習でやってた感覚では確実に自信を持って返せる瞬間が3回くらいあったんですけど、自分のタイミングとパワーでスイープを仕掛けようとしたんですけど、その動作すらも見せることなくねじ伏せられたという。
──そこは改めて映像で見ると分かるシーンですか?
ミノワマン いや、分からないと思います。動作を起こす前にかき消されちゃっていますからね。攻撃しようとした動作すらも、力でねじ伏せられてかき消されました。
──これまでもスーパーヘビー級の選手と闘っていますけど、今までの選手との一番の違いというのはどこでしたか?
ミノワマン 柔術、技でのボディコントロールがうまいところですね。もし下になったとしてもサイドポジションを取られるつもりはなかったんですけど、あっさり取られてしまいましたし、あっさりマウントも取られました。スピード、テクニックも速く予想外でした。あと、もっとドカンと来るのかなと思ったんですけど、意外と来なかったんですよね。最初、先手でタックルに行ったんですけど、行った瞬間に「あっ、ダメだ」と、自分のカラダが壊れる危険性を感じました。
──最初のタックルはタイミング的には?
ミノワマン 悪くない形だったと思います。タイミング的には僕の中ではかなり良かったんですけど、なんか違うんですよね。予想以上に速い動きで腰を引かれましたし、腰をパンッて引いてからの体重と力の掛け方がすごくて「これはマズイ!」っていう。相手がパスするときもパワーとスピードをうまく利用してきて、あっさりサイド、マウントを取られてしまって、何度も危ない場面がありました。
──八方塞がりの状況というか。
ミノワマン ほんとそういう感じでした。
──そのときはどういった気持ちで闘っていたんですか?
ミノワマン もう、気持ち的には本当に瀬戸際まで追い詰められていましたね。バックを取られてなんとか立ち上がっても、投げられるつもりはないんですけど、ぶん投げられて叩きつけられましたし、後ろからバックマウントを取られてまた投げられて。返し技も研究されていて、反応も速いですし、そしてあのパワーですからね。かなり追い詰められた精神状態でした。
──そこで勝機を見つけて勝利したわけですけど、ご自身の中で一番の勝因というのはどこにあったと思いますか?
ミノワマン やっぱり最初の、1Rの我慢。あきらめなかったことだと思います。いつでもあきらめそうな状況、いつでもパウンドに自分が吸い込まれていきそうな状況で、なんとか自分を繋ぎ止めることができたことが勝因だったと思います。パウンドをコツコツ当てられてボーっとしてきて、パウンドに自分が吸い込まれていくような感じだったんですけど、ボーっとしてそのままその吸い込みに身を任せれば、気がつけば止められていたでしょう。自分はそんな気はないのですが、いつでも吸い込まれていくような状況でした。
──1Rは自分の精神を繋ぎ止めておく状況だったんですね。
ミノワマン 本当にもう瀬戸際で、ちょっとでもKOに吸い込まれていくほうになびいてしまったら危なかったと思います。だから、お客さんの気持ちも自分の気持ちも、どん底に近いところまで行ったと思います。映像を見るとやっぱりちょっと画的に見づらいところはありましたからね。えぐいというか。だからちょっと前半は気持ちの落ちてく試合じゃなかったと思います。何度も雑巾のように絞られて、殴られているような感じでした。
──そこを凌いで、最後は見事な一本勝ちでした。
ミノワマン 最後はもうあそこしかなかったですね。スタミナ面で相手の疲れを感じ取れましたんで、打撃で「今だったら打ち勝てるんじゃないか?」っていうところで、やっぱり一発が怖かったんでコンビネーションが出せず単発で終わってしまって。勝ったのは嬉しいんですけど、反省点や課題点というもいっぱいでました。
──その反省点や課題点というのは?
ミノワマン まだ一個一個の技に対しての完成度が低いっていうのと、ちょっと相手の予測していなかった攻撃が読めなかったっていうのが、相手への研究不足でもあり、ナメてるわけじゃないんですけど、もう少し相手の危険性の確認不足、予想不足だったと思います、そこは改めて反省します。

■「アメリカで試合をするということに興味があります」

──今後の話をお伺いしたいんですけど、一夜明け会見でストライクフォースとの提携の話からアメリカでの試合に興味があるということをおっしゃっていましたよね。
ミノワマン ストライクフォースだけじゃなく、アメリカでの大会への興味はありますね。ストライクフォースでの繋がりでチャンスがあれば、自分がアメリカで試合をしたときの反応、海外における現状での目線、いろんなものを確認したいなとは思います。
──ミノワマン選手は海外での試合経験はありますけど、アメリカではないですよね?
ミノワマン ないですね。ブラジル、韓国、イギリス、タイではありますけど、アメリカではありません。練習しかないです。ですから、どこで誰と闘いたいというのではなく、アメリカで試合をするということに興味があります。今、アメリカはMMAが盛り上がってますし、どういう目線で格闘技を見てるのかなっていうのは興味ありますね。
──次はいつあたりに試合をしてみたいというのはありすか?
ミノワマン 今はまだあまり考えられないですね。いい時期いいタイミングで試合したいです。
──練習でもプライベートでもかまわないんですけど、今後何かチャレンジしてみたいことっていうのはありますか?
ミノワマン いろんな分野の人とお話して、取り入れられるものはいろいろ取り入れたいですね。
──それはスポーツに限らず?
ミノワマン 限らず。いろんなジャンルの人たちの、できればそのジャンルのトップの人たちと交流が持てて、いろいろ得て与えられることもできたらいいかなって思っています。プライベート対談みたいな感じでゆっくりお話するチャンスがあればと思っているので、そこはいつも狙っています。いろいろお話を聞いて、逆に聞かれたらちゃんと伝えられるようになりたいです。
──そういう気持ちっていうのは今までも?
ミノワマン 今まではなかったですね。
──どういう心境の変化なんですか?
ミノワマン やっぱり自分の精神状況を整えたいのと、気持ちの部分でもう少し強くなりたいっていうのと、他のジャンルのトレーニングだったり、大会や試合への気持ち、全然ジャンルが違うものかもしれないですけど、どっかで繋がってる面があると思いますので、そういう部分で自分に足りない面を吸収したいと思います。
──さらなる成長を遂げるために。
ミノワマン そのためには“新感覚”が必要ですからね。いろいろな方とお話して“新感覚”をどんどん掴みたいと思います。
──最後にファンへメッセージをお願いします。
ミノワマン 一試合一試合、ひとつひとつ、最高の作品、試合を仕上げていき、その場その場でベストの自分を作っていきますので、皆さんには、そんな自分の一試合一試合を見ていただきたいなと思います。そして、自分の気持ちのぶつけ方だったり、自分の人生における瞬間というのを受け取ってもらい、それが何か皆さんのプラスになれれば幸いです。これからもぜひ、自分の試合を見てください。