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2009年10月23日

教えて、チャンピオン!! 『DREAM.12』開催直前スペシャル【前編】
青木真也が語る“ケージファイトの魅力”

DREAM初のケージファイトが行われる10・25『OLYMPIA DREAM.12』(大阪城ホール)まであと2日! ということで今回は、DREAMライト級チャンピオンにして大のMMAマニア、青木真也を講師に迎え“ケージファイトの魅力”を徹底解説だ!! しっかり予習、たっぷり堪能!! これを読めば『DREAM.12』は100倍面白くなる!!!!

■「多少のアジャストは必要になるが、闘い方そのものはそんなに変わらない」

──『DREAM.12』ではDREAM初のケージでの闘いが行われます。ということで今回は、DREAMライト級チャンピオンにして大のMMAマニア、青木真也選手にご登場いただき、ケージ初観戦の方でも楽しめるよう、“ケージファイトの魅力”についてレクチャーしていただこうと思います! チャンピオン、今日はよろしくお願いいたします!
青木 おすおす! よろしくお願いします!
──早速お聞きしたいのですが、「リングとケージでは闘いが変わる」とよく言われますが、実際のところはどうなんでしょうか?
青木 まあ、多少のアジャストは必要になりますけど、闘い方そのものはそんなに変わらないと思いますね。
──「多少のアジャスト」というのはどういった点が挙げられるのでしょうか?
青木 まず、リングは四角形ですよね。四角形ということは、リングでは「相手をコーナーに追い詰める」という動作があるんですよ。だけど、それがケージになると、コーナーがなくなるんですね。そうなると、「相手を追い詰めようとしても、回って逃げられちゃう」んです。
──DREAMの場合、ケージは六角形。正四角形(リング)の一角が90°に対し、正六角形(ケージ)の一角は120°。横に回り込むスペースが大きくなるわけですね。
青木 そうなんです。ほぼ“円”に近い形状となるんです。ですから、そういう部分でのアジャストは必要になると思いますね。
──周りを囲んでいるのが“ロープ”ではなく“金網”。この違いは試合にどう影響するのでしょうか?
青木 例えば、「相手を押し込んでタックルに入る」のはロープにも金網にもある攻防なんですけど、ディフェンス側からすると「金網のほうがテイクダウンされにくい」んですよ。具体的に言うと、ロープは寄っかかりにくいんですけど、金網だとちょっと横向きになって寄っかかるとテイクダウンされにくくなるんですね。分かりやすい例を挙げると、『UFC99』の宇野薫vsスペンサー・フィッシャー戦で、フィッシャーが横向きになって金網に寄りかかりながら、宇野選手のタックルから逃げてました。それと、テイクダウンされても、高谷(裕之)選手がビビアーノ(・フェルナンデス)戦(『DREAM.11』フェザー級GP決勝戦)で見せていたような「マットにお尻をつけながら立ち上がる動作」は、金網をうまく利用すれば、金網のほうが立ち上がりやすくなります。
──金網を利用してのテクニックがあるんですね。
青木 他には、完全に寝かされた状態でも、「下の選手は金網を蹴って向きを変える」こともできますし、スイープ、つまり「上下を入れ替えること」もできるんです。『UFC80』でBJペンとジョー・スティーブンソンのタイトルマッチがあったんですけど、スティーブンソンがリングの中央でテイクダウンされたときに、スティーブンソンは立ち上がりたいので体勢をずらしながら金網のほうに動いて行ったシーンがありました。まあ、結局はペンが向きを変えて、それを潰したんですけどね(笑)。
──逆にオフェンスする側としては、そういった相手の動きもケアしなければいけないんですね。
青木 そうなんです。相手を金網に押し付け、固定した状態でテイクダウンに行く展開が見られますが、先程も言ったように、金網際で倒された相手は金網を使いながら立とうとします。そこでオフェンス側は、立たれないよう相手を金網に押し付けながら、バックを取りに行ったり、潰しに行かないといけないんです。

■「揉み合ってるようにしか見えない金網際の攻防。そこでは激しい攻防が繰り広げられているんです」

──金網際の攻防に関して、他にもポイントとなる点はありますか?
青木 「パウンドの攻防」ですね。青木真也vsヨアキム・ハンセンのときのように、「下になった選手が腰を出して丸め込まれるような状態は危険」ですね。その状態で上の選手から金網際で抑え込まれてしまうと、反対側の金網が壁の役割を果たしてしまうんです。つまり、相手と壁、2人の人間に挟まれて抑え込まれるような状態になってしまうんですね。
──そのような状態で抑え込まれた選手は身動きが取れない状態になってしまうわけですね。
青木 そうなると、あまり効かないパウンドでも、下の選手は身動きが取れず手詰まりとなり、レフェリーに止められるということがあります。状況的に「何もできずパウンドを喰らっているだけ」ですからね。
──その状況になったら、下になった選手は脱出不可能なんでしょうか?
青木 う〜ん、不可能とは言いづらいのですが、難しいと思います。あと、UFCと違って、DREAMにはグラウンドでのヒザがあるじゃないですか。「亀になった相手を金網に押し付けてヒザを入れるっていうのはかなり危険」だと思いますね。
──衝撃の逃げ場がなくなるわけですね。あと、リング外に出ることもなくなりますから、ケージでは“ストップ・ドント・ムーブ”がなくなります。
青木 グラップラーとしてはやりやすいと思いますよ。逆に、ストライカーとしては厳しい部分もあると思いますけど。
──試合時間が5分3Rになりますが、これはいかがでしょう?
青木 結論から言うと、あまり変わらないと思いますね。例えば、僕の場合は、15分間にわたって相手を圧倒するという考え方なので、ラウンドの切りどころが違うだけで特に変わんないんですよね。
──ケージで闘うにあたって、選手によって「向き」「不向き」はあると思いますか?
青木 「向き」「不向き」というよりは、選手によって「好き」「嫌い」はあると思いますね。ケージの特性を理解して、それをうまく利用できた選手には有利に働くんじゃないでしょうか。ですから、ケージでの闘いというのは、要は「どっちが金網をうまく使うことができるか」のせめぎ合いですよね。で、そのせめぎ合いが楽しめるようになると、よりMMAを楽しむことができます。僕ら選手がよく言う、“際の攻防”ってやつですよね。そこがわかれば、僕らが一番楽しんでいる攻防を、みなさんにも楽しんでもらえると思うんですよ。金網際の攻防を見慣れていない人にとっては、ただ金網際で揉み合ってるようにしか見えないと思うんですけど、そこが妙というか、実は激しい攻防が繰り広げられているんです。
──なるほど〜。そこで、チャンピオンにお聞きしたいのですが、今回はケージ初体験という選手も少なくありません。そのような選手にとって金網はデメリットになってしまうんじゃないかと考えてしまうのですが……?
青木 う〜ん……まあ、練習していればそんなに変わらないとは思うんですけどね。でも、ケージでの闘いに慣れている人と未経験の人が闘ったら差は出ると思います。先程も言ったとおり、「“金網”というもうひとりの人間を、味方にできるかできないか?」ですから。まあ、それはリングにおいても同じことが言えるんですけどね。そういう意味で、僕が今回の『DREAM.12』をみんなにどうしても観てもらいたいと思うのは、ケージの楽しさをわかってもらいたいからなんですよ。日本はやっぱりリングの文化だと思うし、ケージは受け入れづらいと思うんですよね。日本でメジャーと言われている団体が、ケージを使用しての大会を開催するのは今回が初めてなので、一発目で面白かったら今後も続くと思うんです。ケージでの闘いも好きな一ファンの青木としては、そのためにもこうして普及活動をしているんですな(笑)。
──見事な啓蒙っぷりですよ! チャンピオンの話を聞いて、より『DREAM.12』が楽しみになってきましたもん!
青木 選手もそうなんですけど、見ているお客さんもケージの特性を理解していれば、より楽しめると思うんです。なので、みなさん、ぜひしっかり予習してから大阪城ホールに来てください! 予習して気分を盛り上げる時間も楽しいですしね。
──もちろん青木選手も大会当日は?
青木 一ファンとして生観戦しますよ! “ヒジ”がないぶん“ヒザ”がある。“和製MMA”と言うか、日本ローカルのMMAの楽しみ方がそこにはあると思うんです。あと、アメリカかぶれの僕としては、ケージでやるときはグローブはUFCと同じ手袋式がいいなと思っていたんですけど、DREAMで使用しているものと同じだそうです。でも、そこもDREAMっぽくていいと思うんですよね。センターに選手入場の花道があって、ケージがあって、DREAMのグローブっていうのは凄く見てみたい! しかも、そこにロングスパッツの青木真也がいたら……超面白いと思います(笑)。「世界で見られないものが、日本で見られる」っていうのがいいじゃないですか! 絶対に面白いと思います!!

【※後編では、『DREAM.12』の見どころを青木が徹底解説! そして、自身の次戦についても言及!! 更新は明日24日(土)正午を予定!! 乞うご期待!!!!】