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2009年10月15日

「真っ直ぐですよね、川尻さんは。オレはねじ曲がっていますから」
DREAMライト級王者・青木真也インタビュー

10・6『HEIWA DREAM.11 フェザー級グランプリ2009決勝戦』(横浜アリーナ)で行われたDREAMライト級チャンピオンシップでヨアキム・ハンセンを破り、見事、第2代王者となった青木真也にインタビュー。ハンセン戦を振り返ってもらうとともに、大晦日での対戦を表明された川尻達也についても語ってもらった。【取材日:2009年10月7日】

■「これでやっとゆっくりできるかなって感じです」

──DREAMライト級王座戴冠、おめでとうございます!
青木 おっす、ありがとうございます! まあ、堅い試合でしたけどね。
──堅い試合?
青木 抑え込み続けましたからね。オレはあれでよかったかなと思っているんですけど。相手の攻防は断ったし、「勝つ」ってことがテーマだったんで、勝ってよかったと思います。なかなかトップの試合になったらジャンケンみたいな試合にはならないですからね。
──ラスト4秒での一本勝ちでした。
青木 たまたまっすけどね。ラスト1分で極めに行ったら、もし失敗したときに下になっちゃうじゃないですか。そうなると逆転される可能性があるから、形に入っても敢えて最後まで取りに行かなかったんです。もしそこで失敗して逆転しても、ゴングに救われる。グラップラーはそういう最後に取りに行く練習をしていますから。ヒクソン(・グレイシー)とかもそうで、残り30秒を過ぎてから取りに行くようにしていましたしね。まあ、判定だと「これは絶対に勝つな」というのはあったので、だからこそリスクは最小限に抑えたかったんです。
──1Rにハンセン選手の蹴り上げが下腹部に入ってしまいました。
青木 あれで明らかにペース崩れて、動きも落ちたんですけど、抑え込むということに変わりはないと思って、とにかく抑え続けようと。抑え続けたらなんとかなるだろうと思って、はい。逆にアイツを上にさせたら、あの左のパウンドは強いですからね。下になったらとにかく立つ。上を取ったら、そのまま上にい続けてやろうと思ってました。
──青木選手が試合前にイメージしたとおりの試合展開だったと。
青木 ほぼ近いですね。上を取り続けて、抑え続けて、相手の攻防を断って、最終的に極めると。ほぼプランどおりでしたね。
──「相手の攻防を断つ」というのは?
青木 要は「攻めさせない」ということですよね。「相手のやりたいことをさせない」という。それができたんでよかったかなと思います。逆に、(ハンセンに)ちょっと腕十字を掛けさせておいて、そこを殴って潰すとかもできましたし、はい。
──「腕十字を掛けさせておいて」というのは「餌をまく」という?
青木 はい。そうしないとディフェンスばかりの相手を殴れないですからね。掛けさせて潰して、という。結構外国人が使うんですよ。殴りも混ぜて、散らして散らして勝負していこうと思っていたので、これまで格闘技の幅を拡げてきたのが、今回いい感じで出てきたのかなと思いますね。組み技だけじゃないという。
──去年のライト級GP決勝戦から1年3ヵ月、ハンセン選手に雪辱しました。
青木 「ベストでやれば負けないよ」というのはずっと思ってたんでよかったっすよね。本当によかった。これでやっとゆっくりできるかなって感じですね。


■「勘違いレベルが凄いし、ビックリしましたね、ほんと」

青木 (しみじみと)それにしてもビビアーノは強かったなぁ。アイツはすげえなって思いましたね。KID選手とユライヤ(・フェイバー)以外に負けてないし、しかも、ユライヤのときはバックを取ってますからね。なおかつ、セコンドがペレ。すげえ幻想膨らみますよ。
──具体的にビビアーノ選手のどこに凄さを感じましたか?
青木 全然みんな分かってないと思うんですけど、ストレートとタックルが一緒なんですよ。ストレートをディフェンスしたらタックルに入られるし、タックルだと思ったら殴られるし、みたいな。UFC的ですよね、「突っ走りながら打つ」みたいな。あれはやりづらいですよ、絶対。あと、イマナー(今成正和)の試合を見ても、対柔術家の場合はリスクを冒さないし、対レスラーだと下からの煽りというのがすんごい。ジョー・ウォーレン戦での(リングからの)去り方もBJペン的でしたからね(笑)。で、ビビアーノが(優勝賞金)1,000万のプレートを持ったとき、「オレ、去年勝っとけば1,000万だったんだぁ!」ってイマナーに愚痴ったら、イマナーに「損したな!」って言われて、そうしたらすげえ損した気分になっちゃった(笑)。でかいよなぁ、1,000万。ビビアーノが1,000万かぁ……。昔、下北で一緒に柔術の大会に出たときは、200人くらいの会場でやっていたんですよ。なのに、今はあんなところで1,000万とか持っちゃって。ちょっと嬉しくなっちゃいましたよね。オレ、ビビアーノには愛があるんですよ、柔術家だから。柔術家のレベルとしてはオレらより全然上ですけどね。まあでも、昨日は面白かったと思うなぁ。
──他の選手の話題はさておきですね(笑)、ハンセン戦後に川尻達也選手から大晦日での挑戦を表明されました。
青木 ああ、プロレス?(笑)。「来るだろうな」とは思ってたんすけど笑っちゃいましたよ、予想どおり来るから(笑)。だって、練習のときに宇野(薫)さんに言ってたんですよ、「(川尻が)もしそうやって来たら、宇野さんの言葉借りて返しますね」って。そうしたら本気で来るんだもんなぁ(笑)。普通にスカしてやりましたよ。だって、ああいうふうに来たらスカされるに決まってるじゃないですか(笑)。勘違いレベルが凄いし、ビックリしましたね、ほんと。
──川尻選手は「闘うのと同じで、はぐらかすのが巧い」とおっしゃっていました。
青木 真っ直ぐですよね、川尻さんは。オレはねじ曲がっていますから(笑)。まあ、(川尻は)強いし、いいんじゃないですか。でも、分からないですよ、やるかどうかは。やりたければやるし、やりたくなければやらないし。納得できるんだったらやるし。でも、それはオレが決めることだから。残念ながら、彼が決めることではないんで。
──チャンピオンは青木選手ですからね。
青木 そうなんです。申し訳ないけど。
──相手以前に大晦日への出場というのは?
青木 う〜ん、出場するのかなぁ? とにかく、それすらも考えたいですね、ゆっくり。とにかく、ゆっくり休みたいです。ぶん殴られているのもありますから。DREAM始まって11試合やってますからね。「青木だから大丈夫だろ?」みたいなところがあるけど、「お前らよく考えろよ」みたいな、ほんとに。でも、「やっちゃうのかなぁ……」とか思ったりもしますけどね(苦笑)。でも、どっかで休まないと。休むタイミングって難しいですよ、はい。