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2009年8月4日

「今回は完全に勝ちにいったということです」
青木真也インタビュー

『HEIWA DREAM.10 ウェルター級グランプリ2009決勝戦』で行われたライト級ワンマッチでビトー“シャオリン”ヒベイロに勝利した青木真也にインタビュー。シャオリン戦、そして今後の抱負について語ってもらった。【取材日:2009年7月21日】

■「寝技の力が同等だから打撃で差がつくわけです。そこはわかってほしいです」

──一夜明け会見でもおっしゃっていましたが、改めて今も昨日の試合と同じショーツを穿いている理由を教えてください(笑)。
青木 ほんともう最悪でしたよ(笑)。ガストでカレーうどん食ってたんですけど、そのカレーうどんがまた熱くて、それをフーフーしながら食ってたら、一緒に食ってたヤツが「やったぜ、青木!」って立ち上がったら、丼がバシャーンと……。赤い上下のジャージにカレーうどんがかかっちゃって、とにかく熱い! で、熱いから脱ぐしかなくて、ガストでパンツ一丁ですよ(笑)。あれは気をつけたほうがいい。だってあれ、子供だったらやばいですよ。オレだから良かったようなものの(笑)。
──そのような理由で現在もそのパンツなんですね(笑)。で、昨夜の試合を振り返ってみたいのですが、あのようなスタイルの青木選手は初めて見ました。
青木 そうでしょ? 一緒に練習している人はオレが打撃できるっていうことを知っているんですけどね。昔、中井先生から、「もし自分と同等のクラスの寝技の持ち主と試合をしたら、寝技で差がつかない場合が絶対に出てくるから、そのときに打撃やレスリングに持ち込めば、寝技の力でやらなくても勝てるだろう?」って言われていたんですよ。で、ずっとデビューしたときから信じて練習していたんですけど、やっとここで出たんです。だから、格闘技っていうのはこれだけやってれば勝てるっていうのはない、と。“TKチャート”じゃないですけど、あれを満点にすることを考えなさいって言われていたんです。寝技の力が同等だから打撃で差がつくわけです。そこはわかってほしいです。
──なるほど。
青木 で、青木真也は寝技勝負を避けたっていうけど、避けたんじゃないんですよ。彼(シャオリン)が避けたんです。で、この競技は付き合う付き合わないじゃないんですよ。付き合わさせるんです。そんなこと言ったら、(エディ・)アルバレス戦のときだって、オレが下になって「こいよ!」ってやっても、(アルバレスは)こなかったじゃないですか? だから、自分に付き合わさせるんです。だから、今回は完全に勝ちにいったということですよね。
──勝つことにこだわった一番の理由というのは?
青木 いろいろあって、一つは連敗したくないということ。あとは、負けたら全部とられちゃうから。DREAM2戦目のシャオリンにおいしい部分を全部持っていかれちゃいますからね。負けるわけにはいかねえと。何が何でもって感じでしたね。世界的な評価も一気に落ちるし、「おいしいところだけ取らせてたまるか!」みたいな。あと、単純に(シャオリンが)強い相手だということ。それと、自分が柔術主体の選手で、同じ柔術主体の選手には弱いんじゃないかっていう風潮があったから、「馬鹿にすんじゃねえよ!」っていうのもありました。あと、魔裟斗vs川尻! オレらの大事な仲間が処刑台に立たされたわけですからね。「ふざけんじゃねえよ!」みたいな。ヒーローに担ぎ上げられて、結局違うだろみたいな。『ファイティング・オペラ 魔裟斗』の生け贄にされちゃってさ。オレ、自分がなるのはいいんだけど、人がなるのは嫌なんですよ。だったら、オレは徹底的な格闘技、徹底的な勝負論を見せてやろうと思って。
──いろいろな理由があったと。
青木 言葉にすると刺々しくなっちゃうんですけどね。
──いつの間にか追われる立場にもなっていました。
青木 いろんな選手がオレの名前を出してくるけど、残念ながらなんとも思わないんですよね(笑)。だって、オレはもっと上を見ているもん。下を見て、「よ~し、おまえ来いや!」っていう歳じゃないから。まだまだ何とも思わないです。

■「オレのなかでは川尻さんだろうがシャオリンだろうがやることは変わらない」

──一夜明け会見では「ここまで差を付けてしっかり勝つことできて、やっぱりオレ強いんだとも再確認できました」とおっしゃっていました。
青木 2回下になったじゃないですか? すぐにやられっかなと思ったけど、やっぱり強くなってんすよね。それはちょっとビックリした。シャオリンの戦績って20勝2敗でしょ? 負けてんのが川尻(達也)さんと(J.Z.)カルバンで、川尻さんには負ける前に一回勝っているし、カルバンとのときは減量失敗みたいなので負けてるから、結構、(シャオリンに対して)難攻不落的な幻想があるんですよ。修斗のチャンピオンだったし、で、タイミングが悪いことにリアルタイムで見ているんだな、これがまた。しっかりと丁寧に見てた。丁寧に見ているもんだから、自分のなかで幻想がデカかったんですよね。カルバン以上にありましたから。でも、凄いよ。だって、日本の町道場で育った人間が柔術のチャンピオンに勝っちゃう時代になっちゃったんだもん。ビックリした。でも、10年かかりましたから。もっともっとかかると思ってましたけどね。
──そして、最後のマイクパフォーマンスなんですが。
青木 やっちゃった……。想定内……想定内なわけないでしょう、こんな試合(苦笑)。2つあるんですよね。競技者としてのオレもいるし、エンターティナーとしてのオレもいる。困っちゃうんですよね、ああいうときは……。まあでも、結果、これで次につながったと思いますから。あれで負けられねえなと思いましたからね。
──10月にヨアキム・ハンセン選手のタイトルに挑戦して、その後、川尻選手と一騎打ち、という流れですね。
青木 10月やって、そこまでやれば文句ねえだろうと。あと、ぶっちゃけ青木vs川尻って見たいでしょ? このカードでお客さんが入るんならやればいいじゃんって。でも、オレのなかでは川尻さんだろうがシャオリンだろうがやることは変わらない。一生懸命やるだけです。
──話の通りに事が進めば、次の試合は10・6『HEIWA DREAM.11 フェザー級グランプリ2009決勝戦』(横浜アリーナ)になるわけですが、10月まではちょっと間が開きますね。
青木 普通に練習しますよ。あと、鉄ちゃんやるんですよ、鉄ちゃん。
──鉄ちゃん?
青木 いや、学生時代にやりたかったんですけど、今は試合が終わったタイミングだし、時間もあるから青春18切符で九州まで鈍行で行こうかと。ぶら〜っと。DREAMファイターでセミ(ファイナル)やって、そこであえて青春18切符でやるのが面白いかなと。絶対に面白いと思うよ。で、行く先々で「おにぎりありますか?」みたいな。そういうことやりたいの(笑)。知ってました? 1日で九州まで行けないんですよ。2〜3日はかかる。それで行ってみて、帰りは考えます。体の消耗もありますからね。そこであえてもう一歩踏み出せるのか? ガッツが足りないとなるのか? 聞くと、凄くキツいみたいですよ。ケツが痛くなるらしいですから。
──大阪でP’sLAB大阪に寄ったりとか。
青木 そうそう(笑)。「頼もう!」みたいな。前田吉郎に会ったり。まあ、とりあえず10月にやりますよ! 本当に時間があるようでないと思うんで、練習して、一生懸命やります!