DREAM OFFICIAL WEBSITE

mixiチェック Tweet

◎出席者：笹原圭一（DREAMイベント・プロデューサー）、佐伯繁（DREAM広報／DEEP代表）
◎ゲスト：島田裕二（DREAMルールディレクター）

■「格闘技イベントのスケール感というのは、外国人選手が作っていくもんなんですよ」（島田）

──ここからは『DREAM.10』の見どころについて語っていきたいと思います。まずは、ウェルター級GP決勝ラウンドについてなんですけど。
島田　あの選手いいよね、バク宙する選手。
笹原　マリウス・ザロムスキーですね。マッハの準決勝の相手です。
島田　ザロムスキーはなんか気になる存在だなぁ。佐伯さんの優勝候補は誰？
佐伯　マッハ！
島田　笹原さんは？
笹原　う〜ん、マッハだろうなと思いますけどねぇ……。地力で言ったら、やっぱりマッハが一番だと思うんですよ。でも……。
島田　でも？
佐伯　これはトーナメントだから何が起こるか分からない。ってことでしょ？
笹原　ええ。
佐伯　だから、マッハ優勝のポイントは、反対側のアンドレ・ガウヴァオンvsジェイソン・ハイの内容次第だと思うよ。その試合が秒殺で決まるとヤバイけど、結構クタクタになる展開だったらマッハ優勝の可能性はぐっと上がるだろうね。
──島田さんの優勝候補は？
島田　マッハが無傷に近い状態で決勝に行ったら、マッハだろうね。
佐伯　本当にマッハの今回のGPへのモチベーションは高いよ。物凄く高い！　とにかく金が欲しいんで、いつも以上に気合い入っとる！
一同　ハッハハハハ！
笹原　でも、プロがお金にこだわるのは当然ですからね。
佐伯　マッハは金が掛かることばかりなのよ。自転車を買ったりさぁ、道場も経営してマッハの下にたくさんの選手たちがいるから面倒も見ないといけないしさ。だから、2006年に予定されていたPRIDEライト級GPが中止になったじゃない？　あれで一番怒ったのはマッハですもん。「せっかく車買ったのに、これじゃあ払えないよ。オレが優勝する予定だったのにさぁ……」って（笑）。
笹原　大会が始まる前に車を買っちゃったんですよね（笑）。
佐伯　（ベンツ）SLをね（笑）。
──あ〜あ〜（笑）。
島田　無茶するね〜、まったく（笑）。最後のプロレスラーだね、マッハは。豪快すぎるよ、それ（笑）。
笹原　しかも、買ってからすぐに事故ちゃったんですよ。廃車になるわ、ラスベガスで何百万も負けるわで、その頃は散々だったと思いますよ。
佐伯　で、結局、今乗っているのが自転車だからね。その自転車がまた高いんだよなぁ……（しみじみと）。
笹原　100万くらいするらしいですからね。
島田　ちょっと他の選手とは“格”が違うなぁ（笑）。
佐伯　まあ3人ともマッハを優勝候補に挙げたわけだけど、マッハがザロムスキーに対し“一回戦の池本誠知戦でのザロムスキーが、ザロムスキーのすべて”と考えていたらまずいと思うな。マッハの中では池本ちゃんの実力を基準にザロムスキーの力量を計っていると思うんだけど、多分、マッハがイメージしている以上に池本ちゃんは強いと思うんだよね。なぜなら、池本ちゃんはここ2年くらい急成長を遂げているから。だから、マッハに限って、当然相手をナメることなんてないだろうけど、そこは注意してほしいな。
──先程、島田さんはザロムスキー選手を気になる選手に挙げていましたけど、その理由というのは？
島田　あのパフォーマンスも含め、継続参戦していったら人気が出るんじゃないかなと思うんだよね。なんだかんだ言って、日本の格闘技イベントって、外国人選手が活躍すると人気が出るじゃん？　K-1もアンディ・フグ（故人）だったりピーター・アーツだったりが人気に火を点けた。PRIDEにしてもヴァンダレイ（・シウバ）、ミルコ（・クロコップ）、（エメリヤーエンコ・）ヒョードルが、PRIDEの人気を一般層にまで拡げた。イベントに外国人スターが生まれると、その人気はコアなファンから一般層に拡がっていくんですよぉ！
笹原　イベントを大きくするには、外国人スターの存在は不可欠ですね。
島田　要するに、格闘技イベントやプロレス団体のスケール感というのは、外国人選手が作っていくもんなんですよ。
佐伯　そういうこと！　外国人選手が遠心力を生んでいって、日本人選手が求心力を生んでいくというかさ。そういうシステムなんだよね。
島田　昔、ジャイアント馬場さんがスタン・ハンセンを呼んだりとかロード・ウォリアーズを呼んだりしたのは、そういうことですからね。で、そういう外国人スターの誕生は、DREAMにとって急務だと思う。そういう意味では、今回のウェルター級GPの決勝ラウンドに残った外国人3選手もそうだし、（ゲガール・）ムサシや（ホナウド・）ジャカレイや（ジェイソン“）メイヘム（”ミラー）なども含め、今のDREAMに出ている外国人選手はみんな強いし、キャラもあるし、みんな化ける可能性があると思う。だから今回は、その中でウェルター級では誰が飛び出すのかっていう部分にも注目したいね。

■「菊野選手もそうなんですけど、師匠のTKも凄い自信なんです」（笹原）

──ここからはワンマッチの見どころについて語っていきたいんですけど、まずは久々の来日となるパウロ・フィリオ！
島田　『DREAM.9』の会場でカード発表されたとき、パウロvsメルヴィン（・マヌーフ）で会場が沸いていたのには驚いたね。
笹原　反応大きかったですよね。
島田　パウロ神話というのがあるんかね？　強いことは強いんだけどさぁ、う〜ん……。
笹原　ハッキリ言って、堅くて強い選手ですよね。
佐伯　まあでも、どっちが勝つにしろ早い時間での決着になるんじゃないかな？
島田　オレもそう思う。メルヴィンが勝つなら序盤のラッシュでKO。パウロが勝つんであれば、寝技で抑え込んでからのパウンドとかだろうね。なんか、パウロ勝利の可能性のほうが高いような気がしてきなぁ……。
──笹原さんはいかがですか？
笹原　私はメルヴィンが勝つと思うんですよ。パウロは昨年、初めて負けて、その一発目の試合。それにここ2年くらい、あまり試合数をこなしていませんよね。対するメルヴィンはキツイ相手と闘い続けて、結果も出している。勢いという面で考えるとメルヴィンかなぁ……と。
佐伯　確かに、無敗が止まったところからの再スタートということで、パウロがその再スタートに向けてどれだけモチベーションを上げてきているかは大きなポイントになるね。
島田　諦め半分、出稼ぎ気分で来たら、メルヴィンにやられてしまうと。
佐伯　うん。で、そのモチベーションの高さというのは、“パウロが諦めずにタックルし続けられるか？”で見えると思う。
──そして、こちらもDREAM初参戦、菊野克紀。菊野は現DEEPライト級王者ですが、佐伯さん、いかがですか？
佐伯　勝つにしろ負けるにしろ、打撃戦をしてほしいよね。ジダの打撃の圧力というのは、多分、菊野が体感したことのないレベルだと思うんだけどね。だってさ、みんな忘れているかもしれないけど、ジダはK-1ルールでブアカーオ（・ポー.プラムック）からもダウンを取っているし、HERO'Sでも準優勝しているからね。
──2006年のHERO'Sミドル級トーナメント準優勝ですね。
笹原　佐伯さんのおっしゃるとおり、本当にジダに勝つって相当大変なことですよね。
佐伯　総合ではジダに打撃で優勢に立てた選手って、今までいなかったもんね。そんな中、菊野が打撃でジダをKOしたら……一気に上がるで！
笹原　菊野選手もそうなんですけど、師匠のTK（高阪剛）も凄い自信なんですよね。
佐伯　そうなのよ！　高阪さんって弟子達に対して凄く厳しい方なんだけど、その高阪さんが、菊野に関しては何のケチも付けないんだよね。むしろ、「このままだと、こいつはエライ選手になっちゃう……」っていう褒め方をするの。
島田　ベタ褒めだ。
佐伯　ただ、大きな舞台に立ったときにどうなのか？　そこが今回の大きなポイント。注目度も今までと違うし、それに比例してプレッシャーも大きくなるからね。
笹原　でも、あの空手スタイルでジダをKOしたら衝撃が走るでしょうね。なんか喰っちゃいそうな予感がするんだよなぁ。
──そして、世界屈指のグラップラー同士の対決、青木真也vsビトー“シャオリン”ヒベイロ。これはどっちが勝つかで意見が割れていますね。
佐伯　何人かの競技者に話を聞いたんだけどさ、「青木はシャオリンに勝てないだろう」という意見も結構聞いたんだよね、これ！　「シャオリンを越えるのは無理だろう」と。
島田　そういう意見も多いんだ。笹原さんはどうなると思う？
笹原　私は青木選手が完勝すると思うんですけどね。上のポジションを取って、全局面で完封して、判定勝ち……というのが私の予想。
島田　オレもトータル的に見たら青木のほうが上だと思うんだけどなぁ……。
笹原　この試合のポイントはテイクダウンだと思うんですよ。で、どちらのテイクダウンが強いかってなると、間違いなく青木選手のほうが強いと思うんです。だって、永田（克彦）選手からも簡単にテイクダウンを奪っているんですからね。
島田　永田と言えば、グレコの銀メダリストだもんね。
佐伯　今思い出したけど、この3〜4ヵ月、青木はフィジカルトレーニングに力を入れていて、体が強くなっていると思うんだわ。だから、前以上にテイクダウンする力も強くなっていると思うよ。
笹原　もしくは、青木選手は寝技勝負には行かないんじゃないかなとも思うんですよ。
島田　これは総合格闘技の試合だし、寝技だけで勝負するわけじゃないからね。
佐伯　でも、こうやって試合前からいろいろな展開が想像できるという部分も含めて、この一戦というのは格闘技マニアにはたまらない試合だよね。

■「マッハの相手と言ったら、もう一人いますけどね。最強の挑戦者が」（佐伯）

島田　そういえば、ヨアキム・ハンセンの復帰っていつ頃なんですか？
笹原　秋頃には復帰できるんじゃないかと思いますよ。
島田　復帰戦がタイトルマッチ？
笹原　そうなる予定です。今回の結果に関わらず、トップコンテンダーは青木選手ですけど、すっきり勝ってチャンピオンシップに臨むというのが理想でしょう。
島田　でも、青木にとってはこの試合をやらなくても、これまでのDREAMでの実績を見れば挑戦者になることはほぼ確定でしょ？
笹原　ですね。
島田　ならば、このタイミングでシャオリン戦というのは厳しすぎるなぁ。
笹原　これは青木選手の「勝負してやろう！」という心意気の現れですよ。今回の一戦は、青木選手にとってマッハ戦以来の試合。佐伯さんも島田さんも今までたくさんの選手を見てきて、大一番に敗れて守りに入ってしまった選手ってたくさんいたじゃないですか？
佐伯＆島田　いたね〜（しみじみと）。
笹原　青木選手はそうなるかもしれないという気持ちを断ち切る意味を込めて、シャオリンというキッツイ相手とのオファーを受けたんですよ。それに、いきなりタイトルに挑戦するよりも、ここでシャオリンに勝てば、いい流れでハンセン戦に臨むことができますからね。
佐伯　これで青木が勝って、秋にタイトルも取って、大晦日に青木と川尻でタイトルマッチというのは実にいい流れだね。
笹原　考えたとおりにうまくいかないのがこの世界の常なんですけど、そういう流れになったら実に素晴らしいですよね。
島田　でも、青木にしろ川尻にしろ、ライト級は本当に日本人が強いよね。中村大介も凄くいい選手だもんな。面白い試合するし、ほのぼのしているキャラもいいし。
佐伯　大介もトップ戦線に絡んでいったら面白い存在になるよね。
笹原　そのためにも日本人との対決は避けられないでしょう。DREAMライト級は年末に向けて面白くなるでしょうね。
──ウェルター級の今後はいかがでしょう？
島田　今回チャンピオンが誕生して、秋頃に防衛戦の相手となるような選手が出てきて、大晦日に防衛戦という感じ？
笹原　そういう感じでしょうね。
島田　その相手は誰になるんだろうね？
佐伯　ボクはね、ウェルター級は今後、韓国が来ると思うんだわ。韓国の76キロにはメジャーに行けるような選手がたくさんいるからね。
笹原　韓国人ファイターというのは面白いかもしれませんね。これまでDREAMではなかなか韓国人ファイターがトップ戦線に絡んでくることはなかったですし。
島田　そういう路線もありだね。
笹原　もちろん、皆が知る世界の強豪も候補に挙がるでしょうね。やはり世界から見てマッハは“レジェンド・ファイター”の一人なので、「マッハが相手なら闘いたい」という声は本当によく聞くんですよ。
佐伯　あと、マッハの相手と言ったら、もう一人いますけどね。最強の挑戦者が。
島田　誰？
佐伯　長南亮！　ただ、長南が今後どういう道を選ぶかは分からないけどね。
笹原　この2人は因縁もありますしね。
佐伯　ただ、今は物凄く仲がいいんだよなぁ〜。全然話が飛んじゃうけど、この前、マッハが長南と酔っぱらって大騒ぎしたらしくて、それをどうやら高阪さんに怒られたらしいんだわ。
──ほうほう！（笑）。
佐伯　そうしたらマッハは「長南が『やれ』って言ったんです……」って言い訳したらしいからね（笑）。
一同　ハッハハハハ!!!!
笹原　子供もビックリの言い訳ですね（笑）。
島田　まあでも、それもこれもマッハがチャンピオンになったらの話なんだよね。DREAMファンには、日本人初のDREAM王者誕生の可能性があるので、ぜひ会場に来て応援してほしいなぁ。マッハ優勝の瞬間を会場で味わってほしい。ズバリ言って、マッハ優勝の可能性は80％！
笹原　前回の『DREAM.9』は全体的に派手な感じでしたけど、それに比べて今回は、ウェルター級GPしかりワンマッチしかり、格闘技濃度が高いというか、格闘技の楽しさが詰まっている大会ですので、楽しみにしていてほしいですね。
佐伯　大会は7月20日でしょ？　ちょうど夏休みに入ったときなんで、ここで盛り上がって、その後の夏休みに向けて弾みを付けてほしい。そのような大会になると思いますよ！

関連リンク：

DREAMチケット情報はこちら