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2008年7月13日

「この心境の変化は自分でもビックリしているんです」
秋山成勲インタビュー

7・21『HEIWA DREAM.5 ライト級グランプリ2008 決勝戦』(大阪城ホール)、ミドル級ワンマッチで柴田勝頼と激突する秋山成勲。DREAM初参戦に向けての抱負を語った。【取材日:2008年7月10日】

■「自分とやりたいという人間は誰もいてなかったんですよ」

――遂に対戦相手が決定しました。今の心境から教えていただけますか。
秋山 やっと決まったなという安心感に似たようなものがありますね。これでさらに気が引き締まったというか、目標ができたんで気持ち的にだんだん上がってきています。
――柴田選手についてはどのようなイメージを持っていますか?
秋山 柴田君はまだまだ総合のキャリアが浅いんですよね。浅いからこその強みもありますし、逆にそこがすごく弱みになったりもすると思うんです。そういうところで、読めない部分があるというか、何をするか分からないというような感じはします。
――相手がプロレスラーということに対してはどのように感じていますか?
秋山 なんとも思わないです、全然。オレが柔道に持っている気持ちと同じような感じなんですかね? 自分も「柔道を背負って」と自分でそのように思っていますし、柴田選手がプロレスに対して誇りを持って闘っているというのなら、それについてどうこう言う気持ちはまったくありません。
――試合を見ていないということで答えづらいとは思うのですが、柴田選手との対戦で一番気を付ける部分はどこだと思いますか?
秋山 会見でも言いましたけど、柴田選手には怖いものなしで来る勢いがあると思うんですよ。その“勢い”というのが一番危ないんじゃないんですかね? ですから、勢いづかせない。勢いづかせないためには……う~ん、ボクが勢いづきます(笑)。
――オファーを受けたときはどのように感じましたか?
秋山 柴田選手が名乗りを挙げていると聞いたのは、赤坂サカスでのイベントのとき(※7月2日)だったんですよ。(相手は)外国人になるのかなと思っていたので、ちょっと驚きましたね。でも、これから日本人選手とドンドンやっていきたいという気持ちがちょうど自分の中にあったんで、その最初の相手という意味でもいいんじゃないかなと直感で思いました。
――日本人選手とやっていきたいという気持ちになった理由は?
秋山 外国人選手でも全然いいんですけど、今年はいろんな日本の選手と闘って、それをバネにというか、その後ドンドン外国人選手と闘っていきたいなと思ったんです。
――柴田選手は現在4連敗中。今回の対戦表明について、柴田選手自身も「そういうことを言える立場ではないですけど」とおっしゃっていましたが、秋山選手自身も「そんなこと言える立場ではないだろう」といった気持ちはありましたか?
秋山 あぁ……そう言われたら、そのように思う部分もありますねぇ……。でも、自分とやりたいという人間は誰もいてなかったんですよ。
――誰も挑戦してこなかったと。
秋山 はい。だから、試合が決まるのに時間が掛かったんです。だから、時間もなく試合もしなくてはいけない状況の中で、「やりたい」と言われたので、「あっ、お願いします」と(笑)。だから柴田君がどうこうというよりも、タイミングがよかったということだけですね。

■「そんなに長いこと現役はできないと思うんですよ」

――鼻とヒザの怪我の具合は?
秋山 完治しました。問題ないです。
――怪我する前の練習量・質が100だとしたら、現在はどのくらいですか?
秋山 同じくらいです。ほとんど怪我する前と変わらない練習をしています。
――現在、練習はどこで?
秋山 慧舟會やトレーニングジムで練習したり、あとはバンゲリングベイですね。
――バンゲリングベイは、かつてK-1 MAXで活躍した新田明臣氏が主宰するキックボクシングジムですよね。本格的なキックの練習を始めて、具体的に強化された部分はありますか?
秋山 やっぱり基本ですよね。キックであったりパンチであったり、あとは重心の移動とか、すべてにおいての基本が上がったと思います。基本が一番大切だと思いますし、すべての攻撃をバランスよく出せるようにというか、そういった部分を細かく教えてもらっているんですごくありがたいです。プラスアルファ、キックの練習をすることで下半身とか体幹が鍛えられました。手応えは感じますね。
――では、次の試合では新たに習得したキックも披露できると。
秋山 バランスが崩れなければ絶対に足も出てくると思います。パンチに頼ってしまうから足がブレたり、体重が移動するからキックが出せなかったりするんで、そういった部分は少しずつ改善されているとは思うんですよ。まあ、いきなりできるほど簡単じゃないんですけど、そういうイメージを持ってやれば攻撃も変わるんじゃないかなと思います。
――大晦日以来の試合となりますが、試合勘という部分で不安はありませんか?
秋山 全然気にならないですね。
――今まで4回開催されたDREAMですが、どんな印象を持っていますか?
秋山 これは自分でも意外なんですけど、「HERO’Sの選手、頑張れ!」と思って見てましたね(笑)。
――そういう、いわば“HERO’S愛”というような気持ちというのは昔からあったんですか?
秋山 全然なかったです(笑)。DREAMができてからですね。この心境の変化は自分でもビックリしているんですけど、ライト級の試合を見ていても「宇野君、頑張れ!」って気持ちで見ていたんですよね。永田選手も青木選手に負けちゃいましたけど、永田選手にもすごく頑張ってほしいと思いましたし。
――そういう心境になったのは、会場からPRIDE的な雰囲気を感じたからとかですか?
秋山 それは感じました。でも、単純に自分がHERO’Sから来た選手だからってことでしょうね。PRIDEから来た選手のことを知らないから感情移入ができないだけで、これから一緒にDREAMというイベントを作っていくようになれば、それは変わっていくと思います。
――DREAM初参戦ということで、気負いや緊張はありますか?
秋山 ないです。やることは一緒ですから。
――地元・大阪ということでたくさんの応援団が来ると思いますが、やはり大きな後押しになりますか?
秋山 なりますね。でも、負けたら若いヤツに示しが付かないんですよ(笑)。地元で散々威張っているから、「おいおい、これで負けたら……」ってプレッシャーは多少あるかもしれません(笑)。
――6月の会見では「今年の残りの大会、全部出るつもりでいる」とおっしゃっていましたが、その気持ちに変わりはないですか?
秋山 ええ。今年前半は試合できなかったというのもありますし、そんなに長いこと現役はできないと思うんですよ。だから、できるときにしっかりやって、そのときそのときで自分がやるべき役目というのを自分で再確認して、それをみんなに見せていきたいです。
――「そんなに長いことできない」とおっしゃっていましたが、いつまで現役を続けられるのかってことは結構考えたりするんですか?
秋山 考えないヤツは誰もいてないんじゃないですか? 具体的に何歳までとかは考えてないですけど、これを40歳を越えてはできないと思うんですよ。でも、40歳以上になってもやってみたいなという気持ちもあります。自分は今年で33歳になるんですけど、18、19歳のときの33歳のイメージって、かなりオッサンだったんですよね(笑)。でも、実際になってみると、こうやって格闘技をできる。だから、今は40歳を想像すると相当オッサンに感じるんですけど、自分が40歳になって「全然できる」と思ったら多分続けると思いますね。
――ランディ・クートゥア選手は今年で45歳ですからね。
秋山 ホンマすごいですよね。この前も、アメリカの水泳女子の選手が41歳でオリンピック代表になったじゃないですか?
――北京五輪水泳女子100m自由形アメリカ代表のダラ・トーレス選手ですね。
秋山 そうそう。そのニュースを見て、すげえテンション高くなりましたからね。そういうのはホント勇気づけられるというか、オレも頑張らなって思います。
――それでは最後に、DREAMにおける今後の目標を教えてください。
秋山 当然やる以上、ベルトは視野に入れてますけど、あまりベルトベルトってこだわりたくはなくて、どうなんやろなぁ……? まあ、今回初めて上がるんで、やってみて何か見つかればいいなという感じですね。とりあえず今回、地元・大阪での試合なので負けられませんし、次につながるようにいい試合をしたいと思います。